GLAM Editorial

【GLAMなオトコ】Vol.15「ライフ・イズ・ビューティフル」。ファッションも人生も謳歌するデザイナー丸山敬太の広がりゆく世界

Q.そういときにおいしい方へと歩み寄るデザイナーやブランドはたくさん存在する。もちろんビジネスの問題なども絡んでの選択だったりもすると思うのですが、丸山さんは常に自分のデザインに正直です。それを貫く強さはどう保っているのでしょうか?

そんなに強くもないんですよ。過去にはふらふらと流行と言われるものに寄っていったことは何度もありますから。でも結局そういうものって売れないんです。お客様はすごく正直ですから。変な話、僕自身すごくミニマルなTシャツがカッコイイという時代になったときに、『KEITA MARUYAMA』では買いませんよ。『アレキサンダー・ワン』で買おうかなとか、今だったら『バレンシアガ』で買おうかな、とかそういう風に思うわけです。僕は作り手ではありますが、等しく消費者でもあるので、ファッションが好きな一人の消費者として考えたときに、『あっちのお店で買いたいでしょう?』という心理がとてもよく分かる。もし『KEITA MARUYAMA』がトレンドを求めやすいプライスで紹介するブランドであれば別ですが、それなりの物づくりをしている以上、トレンドに振り回されるのはナンセンスだと思うんです。これだったら『KEITA MARUYAMA』で買いたいと思ってもらえるものを作りたいなと常に思っているんです。

Q.2016年にこの青山の本店を「KEITA MARUYAMA」から「丸山邸 MAISON de MARUYAMA」へとリニューアルされましたが、そのきっかけは?

『KEITA MARUYAMA』というブランドは僕が作り出したものであり、僕が作っているもののかなり大きな位置を占めてはいますけど、すべてではない。丸山敬太と『KEITA MARUYAMA』はイコールでつながっているようで、実はそうではないんです。それを考えていったときに、『KEITA MARUYAMA』だけでの店ではなく、丸山敬太としてさまざまな表現ができる場所が欲しいなと思ったのがきっかけです。そうすることで『KEITA MARUYAMA』ではやれなかったこと、例えば他デザイナー作品のセレクトだったり、コラボレートだったり、あるいはギャラリースペースのような使い方をしたり、丸山敬太自身のコンテンツみたいなものを見せることで、なぜ『KEITA MARUYAMA』がそこにあるのかがより明白になるんじゃないかと。そういうお店にしたいと思い、丸山邸と名づけました。

Q.自分の商品以外のものを買い付ける際、「これだ!」と丸山さんの心を動かすものの特徴は?

古いものに関しては縁でしかないと思うんですけど、新しいものに関してはコレクションと一緒で、『本来だったらこういうものが好きなのに、なぜ今これに惹かれるんだろう?』というところに意味があるんだなと思っています。あとは作り手の思いが強いものに惹かれますね。僕は買い物という行為、とくにそこにしかないものの中から何かを探し出すことが本当に大好きなので、そうなると買わずにいられなくなるんです。

Q.なにかをコレクトしたり、ものに執着したりするのですか?

収集癖はないんですけど、所有癖はあるみたいです。ただ丸山邸を始めてからは気持ちを改めて買い物をしています(笑)。というのも、たとえば海外で器を買った場合、量産しているものだったら自分とお店の両方の分を買う。でもアンティークのような点数が限定されているものの場合、10点買ったとしたらその中の1番と2番は自分のものにして、あとはお店に出すという風に考えていたんです。でも今はその気持ちを改め、自分の中の順位が高いものからお店に出すようにしています。『売れなきゃいいなぁ』なんて思いながら(笑)。僕は骨董的な価値などにはまったく興味がないので、ただただ自分が本当に好きなものは大切にしてくれる人のもとへ旅立っていってくれたらいいなという思いだけなんです。

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