Q.久瑠美にとっての小塚のように、西島さんにとって人生を変えくれた人とは?
もちろんたくさんいますが、やはり北野武さんですね。当時、あまり仕事がない時期に、ドールズ『Dolls』(2002年)に出していただきました。僕は子どもの頃からずっとファンでしたが、御本人の前では言えなくて。実際、お会いしてすごい方だなと感じたし、いろいろと助言もしてくださって、今もそのことを心に留めながらやっています。
Q.西島さんは、いろんな役にトライされていますが、壁にぶつかったり、モチベーションが下がったりする時はありますか?
僕はこの世界でずっと順調に来たわけではないので、どちらかというと、仕事をいただいて現場に行けたり、演技したりできること自体がうれしくて仕方がないんです。だから、モチベーションが下がるということ自体、あまりないですね。
Q.2014年にブレイクスルー俳優としてかなり騒がれましたが、当時を振り返ってみていかがでしたか?
自分としては“ブレイク”とかそういう意識もなく、今までどおり仕事をしていた感じでした。幸運なことに、すごく楽しい作品やいい現場に呼んでいただいていますが、仕事のスタンスは以前と全く変わってないです。
Q.現場が大好きだという西島さんですが、どういう楽しさを感じていますか?
映画は1人でやれるものではないし、僕も「アイディアをどんどんください」というタイプです。たとえば小塚のペンについて持道具の人に「何か面白いペンはないですか?」と聞いたら、光るペンを用意してくれました。僕が調子にのって、ペンを一生懸命光らせていたら「電池が切れてしまいます」と注意されましたが(笑)。ペンでも時計でも何でもいいんですが、そこに物語があればいいなあと、いつも思っています。
大河ドラマで「八重の桜」で山本覚馬を演じた時、晩年、彼が歩けなくなるのがわかっていたので「前半は走りたい」と言ったら、衣装さんが「わさわさ波打つ着物にしましょう」と提案してくれたり、「ストロベリーナイト」の菊田和男役の時も、助監督がイチゴオーレを用意してくれたりしました。そういうやりとりが楽しいし、僕の場合、みんなで作っている度合いが大きいのかもしれないです。