Q. 作りたいけど複雑だから躊躇してしまっていたり、作りたいけどまだ作れないでいる作品というのはあるんですか?
色数も絵柄の複雑さも無限に形にできるようになったので、絵柄的にできないものはないんです。それよりも、「何を作ろうかな」という方で悩みますね。僕は映画が大好きで、なかでも人生で一番観ている大好きな作品が『タクシー・ドライバー』(76)。100回くらい観ていると思います。でも、じゃあ『タクシー・ドライバー』の何かを僕がわざわざ作らなくてもいいかな? と。他の誰かが作ればいいと思うんですよね。
Q. セーター1枚の製作時間は、集中すれば約1週間とおっしゃっていましたが、これまで製作した中で一番大変だったのは?
エイミー・ワインハウスのミニドレスです。面積がセーターよりも大きいのと、総柄なのでとても手がかかり、完成まで2週間かかりました。
Q. 最新作には映画『クルーレス』(95)の主人公のシェールのバッグがありますね。
最近アルゼンチンの方にスージー・アンド・ザ・バンシーズのスージー・スーや、キュアといったゴス・ロックのミュージシャンたちをモチーフにした作品を続けて5点オーダーしていただいて、それをせっせと編んでいたんですけど、全体的に色もトーンも暗いから、終わったら反動でポップで明るい作品を作りたくなってしまって、「クルーレス・バッグ」を編みました。
Q. インスタグラムでは堀ノ内さんご自身が矢沢永吉さんのセーターを着てコンサートに行かれたり、萩原健一さんの『傷だらけの天使』セーターなど、日本のアーティストをモチーフにした写真もアップされていますね。
僕、矢沢永吉さんの大ファンなんです。それで自分用に編んでコンサートに着て行ってるんですけど、矢沢さんのファンって年齢層が幅広くて年配の方も多いので、おばさまたちがものすごく反応してくれて。「やだ、それ手編み~?」「すごい、上手ねー!」って褒めてくれて楽しいんですよ(笑)。『傷だらけの天使』はショーケンさんがすごく好きだったので、亡くなられすぐに追悼の意味をこめて編みました。