Q.映画を撮る前と後では観る映画のタイプは変わりましたか?
映画を撮る前は、王道ですがフェデリコ・フェリーニの『道』が大好きでした。今ももちろん好きですけど、なぜかイタリア語の響きが好きでよく観ていました。もっと遡ると、学生の頃はスタンリー・キューブリックの『シャイニング』とか、昔の作品を観るのがすごく好きです。映画学校に行くようになってからは、日本人の監督作品も観るようになりました。増村保造監督が好きだなと思ったら、フェリーニに学んでいたことを後から知って、なんか繋がっている気がしました。
Q.好きな世界観はありますか?
女性が生き生きしている作品、嘘じゃない女性が映っている作品が好きです。エリック・ロメール監督の『緑の光線』や『友だちの恋人』も映画学校に行き始めてから観るようになりました。出てくる女の子が本当にリアルで、ちゃんと生きている感じがいいなって思います。
Q.穐山さんにとって“オトコトモダチ”とは?
男女の友情ってよくわからない、だからこの作品を作ってみました。私にも男友達がいるのですが、タイプじゃないから一緒に居られるという関係ではなく、趣味も合うし、恋愛なのかなと感情について考えたこともあります。でもタイミングを逃しまくった結果付き合っていない関係。「恋愛感情を飛び越えろ。」というコピーに込めた思い出もありますね。欲望がなくなって感情を飛び越えたときに固い絆になる気がする。男女の友情ってすごく繊細なバランスで成り立つものだと思います。
Q.今後撮りたいテーマはありますか?
結婚の話を描きたいです。エドワード・ヤン監督の『ヤンヤン 夏の想い出』のような結婚式が出てくる映画が好きなので。大人向けのラブコメとかいいなと思います。結婚式は自分ができなかったことなので、映画にすることで消化したい気がしています(笑)。
Q.今後の目標を教えてください。
映画を撮りながら、会社員もやる。バランスを探れるうちは探っていきたいと思います。やれるなら映画監督にシフトしてもいいという気持ちはありますが、そうはいっても、映画だけでは食べていけないのが現実です。この作品も自主制作で自分で出資していますから。映画ってお金がかかるんですよね~。
【穐山茉由さんの履歴書】
22歳 OEMの会社に就職するも半年で退職
23歳 ファッションブランド・kate spade new yorkのPRとして働き始める
27歳 ワークショップで初めての短編映画を製作
30歳 映画美学校に通い始める
33歳 映画美学校を修了する
35歳 長編デビュー作『月極オトコトモダチ』を製作
『月極オトコトモダチ』
全国順次公開中
公式サイト
Photographer/Masakazu Sugino Writer/Shinobu Tanaka Editor/Maki Kunikata
【女の履歴書】Back Issues
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