運動や食事制限といったダイエットをしているのに、なかなか体重が減らなくなることもあるでしょう。
それは、ダイエットが停滞期に入ったことが原因かもしれません。
ダイエットのモチベーションを下げる停滞期が続く期間や乗り越え方を、薬剤師の視点で解説します。
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ダイエットの停滞期とは
ダイエットの停滞期とは、どのような時期なのでしょうか。
始まるといわれている時期や、継続期間を紹介します。
1-1. ダイエットの停滞期が訪れるのはいつ?
個人差はありますが、ダイエットを始めてから1~2か月後に停滞期が訪れる方が多いといわれています。
もしくは、2~3kg落ちた頃に体重が減少しにくくなり、停滞期に入ったと感じる方が多いようです。
1-2. ダイエット停滞期の期間
一般的に、ダイエットの停滞期は2週間~1か月ほど続きます。
この期間は、なかなか体重が減りません。
停滞期に入ってダイエットを諦めると、リバウンドの可能性が高まります。
辛抱強く、現状維持を目標に過ごしましょう。
2. ダイエット停滞期の原因
ダイエットで停滞期が訪れる原因は、主に2つです。
2-1. 筋肉量の低下
ダイエットでカロリー制限をしたり激しい有酸素運動をしたりすると、からだはエネルギー源として筋肉を利用します。
筋肉量が減ると基礎代謝が低下し、痩せづらくなるでしょう。
基礎代謝とは、何もしていなくても消費されるエネルギーのことで、筋肉量が多いほど高くなるといわれています。
そのため、筋肉量が低下することで、ダイエットの停滞期に入りやすくなります。
2-2. 本能による防衛反応
人間のからだは基礎代謝よりも摂取カロリーが減ると、本能的に基礎代謝を抑えて餓死を避ける「ホメオスタシス(生体恒常性)」という仕組みが働きます。
からだが飢餓状態だと判断すると、栄養の吸収率が高まりエネルギーの消費が抑えられます。
このような状態では、今まで通りのダイエットを続けていても、なかなか体重は減らないでしょう。
3. ダイエット停滞期の乗り越え方
ダイエットをしている以上、停滞期は避けられるものではありません。
そこで、停滞期の乗り越え方を3つ紹介します。
3-1. チートデイを設ける
ダイエットの停滞期に入り、なかなか抜け出せないときには「チートデイ」を設けましょう。
チートとは「cheat(騙す)」という意味を持つ言葉です。
ダイエットの停滞期は、摂取カロリーが減ったため、からだが消費カロリーを抑えることで訪れる時期です。
そのため、停滞期に入ったときに一時的に摂取カロリーを増やすことで、停滞期を抜けられるといわれています。
カロリー制限を栄養不足だと勘違いしている脳を騙し、停滞期を乗り越えましょう。
ただし、摂取カロリーが高すぎると、体重が増えてダイエットが失敗する原因になりかねません。
チートデイとして摂取カロリーを増やす日も脂質や糖質の摂取は避け、筋肉の元となるタンパク質を中心に摂りましょう。
3-2. トレーニングの内容を変更する
ダイエットの停滞期が訪れたら、トレーニング内容の見直しもおすすめです。
たとえば、普段は腹筋を中心に鍛えている方は、スクワットをとりいれて大腿筋を鍛えてみましょう。
トレーニングの内容を変更することで、いつもよりも筋肉量が増えやすくなります。
筋肉量が増えれば基礎代謝も高まり、痩せやすいからだになりますよ。
3-3. 腸内環境を整える
ダイエット中は、食事の量を減らすため食物繊維や便の材料が不足したり、水太りを気にして水分を控えたりすることで、便秘になる方もいるといわれています。
便秘になると便の重さで体重が減らないだけではなく、胃腸の働きが低下して基礎代謝も低下します。
ダイエットの停滞期に入ったと感じたら、腸内環境を整えることを意識しましょう。
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維をバランスよく摂ったり、水分補給をしたりすることが大切です。
普段から便秘がちな方はとくに、腸内環境を意識してくださいね。
4. ダイエット停滞期が終わらない原因
ダイエットが停滞期に入って1か月以上経過したり、乗り越えるための方法を試したりしても、なかなか停滞期が終わらないことがあります。
そんなときに考えられる主な原因を3つ紹介します。
4-1. 過剰な食事制限
停滞期に入って体重が落ちないと、さらに食事制限を行って摂取カロリーを抑えたくなることもあるでしょう。
しかし、停滞期はそもそも餓死を回避しようとする本能による防衛反応です。
そのため、食事制限によって摂取カロリーを抑えると、さらに停滞期が長引く恐れがあります。
また、前述の通り食事制限によって便秘になり、体重が減りづらくなることもあります。
停滞期を乗り越えるために、過剰な食事制限をすることは避けましょう。
4-2. 睡眠不足
睡眠時間が短いと「レプチン」と呼ばれる食欲抑制ホルモンの分泌量が低下し、「グレリン」という食欲増進ホルモンの分泌量が増加します。
つまり、睡眠不足だと食欲に関するホルモンのバランスが乱れ、食欲が増進し肥満につながる恐れがあります。
成人の場合、個人差はあるものの6~7時間の睡眠時間の確保が望ましいようです。
ダイエットの停滞期が抜けられない場合、睡眠時間もチェックしてみましょう。
4-3. ストレスがたまっている
ストレスがたまると、脳の「大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)」という部分が興奮して「ドーパミン」を分泌し、食欲が増進することがあります。
ドーパミンは食欲を増進させるだけではなく、食欲を抑えるレプチンの働きも抑制するため、食べ過ぎてしまうでしょう。
ストレスを感じると分泌される「コルチゾール」というホルモンにも要注意。
コルチゾールは食欲を抑える「セロトニン」というホルモンの働きや、成長ホルモンの分泌を抑制する働きをします。
そのため、コルチゾールが分泌されることで筋肉の再生・修復が抑制されて筋肉量が減り、基礎代謝の低下や体重の増加につながるのです。
5. 効率的なダイエット方法
停滞期に入ると、どうしても体重が減りづらくなり、ダイエットを断念してしまう方もいるでしょう。
では、少しでも効率的にダイエットを行うためにはどうすればいいのでしょうか。
3つの方法を紹介します。
5-1. 女性ホルモンに合わせたダイエットを行う
女性の場合、生理周期に合わせたダイエットを行うことで痩せやすいといわれています。
生理が終わった直後から排卵日までは、代謝をアップさせる働きをする「卵胞ホルモン(エストロゲン)」の分泌量が増えるため、ダイエットに適している時期です。
生理前~生理中にからだにためこんでいた水分が放出される時期なので、水太りも解消できるでしょう。
生理前はイライラして過食しやすいという方も、生理後であれば食欲をコントロールしやすいため、食べ過ぎを防ぐこともできます。
5-2. 筋肉量を増やす
普段から筋肉量を増やしておくことで、ダイエットを効率的に行えるようになります。
既に解説した通り、筋肉量を増やすと基礎代謝が高まり、何もしていなくても消費されるカロリーの量が増えます。
筋肉量を増やして、太りづらく痩せやすいからだをつくっていきましょう。
5-3. 漢方薬の服用もおすすめ
効率的にダイエットを行うためには、漢方薬の服用もおすすめです。
漢方薬は体質の根本的な改善を目指すため、痩せやすいからだへのアプローチができるでしょう。
ダイエットの停滞期を乗り越えるためには「脂肪の吸収を抑える」「脂質代謝を改善する」「自律神経のバランスを整えて、ストレスを解消し睡眠の質を高める」といった漢方薬を選び、健康的なダイエットを目指します。
<ダイエットにおすすめの漢方薬>
・防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん):余分な老廃物の排出を促し脂肪代謝を高めることで、ため込んだ余分な脂肪を燃焼し、ダイエットの手助けをします。おなか周りの脂肪が気になる方におすすめです。(※1)
・大柴胡湯(だいさいことう):からだの余分な熱を取り除き、脂質代謝を改善します。ダイエット中のイライラやストレスによる過食、便秘がちな方におすすめです。(※2)
・酸棗仁湯(さんそうにんとう):ストレスや過労による神経の興奮や緊張を和らげることで、眠りに導きます。心身が疲弊している方におすすめです。(※3)
このような漢方薬を服用することで、ダイエットの停滞期を乗り越える手助けとなるでしょう。
ただし、漢方薬を服用する際には自身の体質に合うものを服用しないと、効果が出ないだけではなく思わぬ副作用に悩まされることがあります。
そこで、おすすめなのが「あんしん漢方」サービスの利用です。
薬剤師が最新のAIを用いて最適な漢方薬を提案してくれるので、知識がない方でも安心して服用できますよ。
6. ダイエット停滞期は無理せず乗り切ろう!
ダイエットをしていると、誰にでも訪れるのが停滞期。
しかし、そこで諦めてしまってはダイエットの成功は訪れません。
自分のダイエット方法を見直しながら効率的なダイエット方法で停滞期を乗り越え、理想の体型を手に入れましょう!
参考URL
(※1)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ防風通聖散エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=8883
(※2)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ大柴胡湯エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=7877
(※3)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ酸棗仁湯エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=9077
<この記事の監修者>
あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり
薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師を経て食養生の大切さに気付く。
牛角・吉野家他薬膳レストラン等15社以上のメニューも開発。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘル-youtubeチャンネルで簡単薬膳レシピ動画を公開中。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」で薬剤師を務める。