GLAM Editorial

2024.08.27(Tue)

夏のベタベタ汗は危険!悪い汗の原因やリスク、汗質改善の対策を紹介!

 

夏に汗をかくのは当然のこと。

ただし、汗の種類によってはリスクがあるかもしれません。

悪い汗だといわれるベタベタ汗のリスクや、汗の質を改善する方法を薬剤師が紹介します。

1. 汗をかく仕組みと汗の種類

汗をかく仕組みと、汗の種類について簡単に解説します。

1-1. 汗をかく仕組み

まず、血液から「前駆汗」という汗が作られます。

その後、曲導管という箇所で前駆汗からナトリウムイオンが再吸収され、薄められた後に汗となって蒸発します。

前駆汗のままだと塩分濃度が高く、このまま排出するとからだから大量の塩分が失われてしまうため、曲導管で汗が希釈されるのです。

 

このように、汗をかく理由はからだが体温調節をするためです。

からだは脳の視床下部によって、状況に応じた基準体温が設定されています。

その基準体温よりも体温が低いと筋肉や脂肪組織が働き、体温が上がります。

一方、基準体温よりも体温が高い場合、汗腺や血管が働いて体温が下げられるのです。

1-2. 汗の種類1:味覚性発汗

辛いものや刺激物を食べたとき、顔や頭を中心に汗をかいた経験がある方も多いでしょう。

これは「味覚性発汗」と呼ばれるものです。

「カプサイシン」という辛み成分が、口腔内の粘膜を刺激することで、発汗神経が刺激されて汗をかきます。

1-3. 汗の種類2:精神的発汗

緊張したときや不安なとき、怒ったときに出る汗は「精神的発汗」と呼ばれます。

手のひらや足の裏を汗で湿らせることにより、摩擦を減らして滑りにくくする役割があります。

これは人間が木の上で生活していたときの名残で、パフォーマンスを落とさないためにかくといわれている汗です。

1-4. 汗の種類3:温熱性発汗

気温が高い日や運動したとき、体温が上昇したときに出る汗が「温熱性発汗」です。

味覚性発汗や精神的発汗のように部分的ではなく、全身から持続的に汗をかきます。

暑いときに激しい運動を行うと、1時間に2リットルほど発汗することもあるようです。

2. よい汗と悪い汗の違い

よい汗と悪い汗、それぞれの特徴を紹介します。

2-1. よい汗の特徴

よい汗は以下のような特徴を持つ汗です。

 

・さらっとしていて、蒸発しやすい

・運動を開始してからすぐにかく

・少量ずつかく

・臭いが少ない

・汗をかくとスッキリする

 

よい汗は蒸発しやすく、発汗のタイミングが早いため体温の上昇が少なく、心拍数の増加も軽減できます。

よい汗をかくことで、効率的に体温調節ができるでしょう。

2-2. 悪い汗の特徴

悪い汗は以下のような特徴を持っています。

 

・塩分濃度が高い

・粘度があり、ベタベタしていて蒸発しにくい

・一度に大量に汗をかく

・においが強い

・汗をかくことで不快感がある

 

悪い汗は蒸発しにくいため、汗をかいてもなかなか体温調節ができないといわれています。

3. ベタベタ汗の原因とリスク

ベタベタとした悪い汗をかく原因と、ベタベタ汗をかくことによるリスクを紹介します。

3-1. ベタベタ汗をかく原因

ベタベタとした悪い汗をかく主な原因は、汗腺の機能が弱まっているからです。

空調の効いた部屋で長時間過ごしたり運動不足だったりといった理由で汗をかく機会が減ると、汗腺の濾過機能が低下します。

その結果、ナトリウムイオンの再吸収が不十分となり、大量の塩分を含むベタベタとした汗をかいてしまうのです。

3-2. ベタベタ汗をかくリスク

ベタベタ汗をかくと、その感触に自分でも不快感を抱くでしょう。

また、臭いが気になるという方もいるかもしれません。

 

ただし、ベタベタ汗のリスクは感触や臭いだけではありません。

一度に大量に汗をかくため、体内から一気に塩分が失われて脱水や熱中症、夏バテのリスクが高まるといわれています。

4. あなたの汗腺は大丈夫?セルフチェック項目

健康診断でも汗腺の働きを調べる項目はないため、自分自身の汗腺機能の衰えに気付かない方も少なくはありません。

自分が悪い汗をかいていないかどうか、以下の項目でセルフチェックしてみましょう。

 

・車や公共交通機関を使うことが多く、歩いたり自転車に乗ったりする機会が少ない

・普段からあまり運動はせずに過ごしている

・汗がベタベタしていて、自分で臭いと感じることがある

・汗を舐めるとしょっぱく感じる

・夏場は空調が効いた部屋で過ごすことが多い

・冷え症である

 

上記に当てはまる項目が多いほど、ベタベタ汗をかいている可能性は高いと考えられます。

後述する汗質改善の方法を試してみましょう。

5. ベタベタ汗を改善する汗質改善7選

ベタベタした汗をかく方は、感触や臭いが不快なだけではなく、健康上のリスクもあります。

ベタベタした悪い汗を改善する7つの方法を紹介するので、試してみてください。

5-1. 食生活の改善

夏は肉類やバター、チーズ、魚介類のように動物性タンパク質を多く含む食材を控えましょう。

このような食材はアンモニアや硫化水素のように臭いの元になる物質が多く含まれています。

 

献立を考える際に血行を促進するショウガや代謝を高める酢を取り入れることで、よい汗をかけるようになるでしょう。

5-2. 有酸素運動

汗腺機能を高めるためには、有酸素運動で汗腺の働きを促進することが大切です。

ゆっくりと汗をかくために有酸素運動を行いましょう。

1日20~30分程度、汗ばむ程度の速さでウォーキングをするのがおすすめです。

 

一方、激しい筋トレのような無酸素運動は、急激に汗をかくためナトリウムイオンの再吸収が不十分になり、ベタベタとした悪い汗の原因になりがち。

汗の臭いが気になる方は避けた方がよいでしょう。

5-3. エアコンの使い方の見直し

エアコンの設定温度が低すぎると、汗をかくことが減り汗腺機能が衰えて悪い汗をかく原因になります。

エアコンを全く使わないと熱中症のリスクが高まりますが、温度設定が低すぎないか見直してみましょう。

ただし、一気に設定温度を上げると、からだに負担がかかります。

3週間くらいかけて、じっくりと27度程度まで上げてみてください。

エアコンの使い方を見直すのと並行して、有酸素運動による汗腺トレーニングも行うのがおすすめですよ。

5-4. 衣服の見直し

汗をかいたら、早めに蒸発させて体温を下げることで、また次の汗をかくことができ、汗腺機能が鍛えられます。

汗が蒸発しやすい素材の衣服を選ぶようにしましょう。

綿や麻で、通気性のよい服を選ぶことがポイントです。

5-5. 半身浴

高い温度の全身浴では、一気に汗をかくため悪い汗になりがち。

また、周囲にお湯があると汗が蒸発しにくいため、体温調節ができずにのぼせるリスクも高まります。

 

汗腺を鍛えるためには、半身浴を試してみましょう。

37~38度のお湯に、おなかのあたりまで10~15分ほど入ってください。

からだの芯から温まり、よい汗をかけるようになりますよ。

5-6. 手足高温浴

手足高温浴は、衰えやすい腕や脚の汗腺を鍛えることができる入浴法です。

浴槽の中で椅子に座り、ひじ下とひざ下だけを43~44度のお湯に10~15分ほど入れてください。

衰えていた汗腺が活発になり、よい汗をかけるようになるでしょう。

 

ただし、手足高温浴を行っても汗が出にくい方や皮膚が弱い方は、無理は禁物。

40度くらいのぬるめのお湯にして、徐々に汗腺を鍛えるようにしてください。

5-7. 腹式呼吸

意識的に腹式呼吸を行うことで、体内に多くの酸素を取り込み、発汗作用が期待できます。

まずは口から息をゆっくりと吐ききりましょう。

次に、おなかを膨らませるイメージで鼻から息を吸い込むことで腹式呼吸ができます。

普段から腹式呼吸をして、隙間時間に汗腺トレーニングをしてくださいね。

6. 汗質改善は漢方薬の服用もおすすめ

ベタベタした悪い汗をよい汗にするためには、漢方薬の服用もおすすめです。

漢方薬は体質の根本的な改善が期待できるため、よい汗をかけるからだづくりへのアプローチができるでしょう。

 

ベタベタした汗を改善したい方は「体内の水分バランスを整える」「発汗機能を調節する」といった漢方薬の服用がおすすめです。

 

<ベタベタした汗が気になる方におすすめの漢方薬>

・防已黄耆湯(ぼういおうぎとう):疲れやすく、水太りの方におすすめ。エネルギーの不足を補って汗腺の機能をコントロールするため、多汗症にも用いられる漢方薬です。(※1)

 

・桂枝加黄耆湯(けいしかおうぎとう):体力が落ちている方におすすめ。発汗調節機能を整えて、多汗症やあせもなどの皮膚炎を改善する漢方薬です。(※2)

 

このような漢方薬の服用によって、気になるベタベタ汗の改善が期待できるでしょう。

ただし、漢方薬は自分自身の体質に合うものを飲まないと、思わぬ副作用が出る恐れがあります。

 

そこで、漢方薬の服用におすすめなのが「あんしん漢方」サービスの利用。

薬剤師が最新のAIを用いて個人に最適な漢方薬を提案してくれるため、知識がない方でも安心して服用できます。

スマホで注文して自宅で受け取れるので、暑くて外出したくない夏にも便利なサービスですよ。

 

あんしん漢方

7. よい汗をかいて健康的に過ごそう!

悪い汗をかくと不快なだけではなく、熱中症や夏バテのリスクが高まります。

現代はエアコンの利用で汗腺機能が衰えている方が増えているといわれているので、意識的に汗をかいて汗腺機能を維持しましょう。

よい汗をかくと、暑い夏も比較的気持ちよく過ごせますよ。

 

参考URL

(※1)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ防已黄耆湯エキス顆粒(医療用)」

https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=7951

 

(※2)医薬品医療機器情報提供ホームページ「桂枝加黄耆湯」

https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/5200029C1021_1_09/

 

<この記事の監修者>

漢方

 

あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり

薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師を経て食養生の大切さに気付く。牛角・吉野家他薬膳レストランなど15社以上のメニューも開発。

 

症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」で薬剤師を務める。

あんしん漢方(オンラインAI漢方)

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