疲れたときに甘いものを食べると疲れが癒される、と聞いたことがある方も多いでしょう。 しかし、糖質は「糖質疲労」の原因となるリスクがある物質です。 糖質のメリットやデメリット、SNSで話題の糖質疲労の原因、糖質以外に疲れをとる方法を紹介します。
1. 糖質の基礎知識
まずは、糖質の基礎知識を紹介します。
1-1. 糖質とは
糖質とは、炭水化物から食物繊維を除いたものの総称です。 1gで4kcalあり、エネルギー源として最も多く利用されます。 また、摂取してから最も早くエネルギーに変わる栄養素として知られています。 糖質が体内で分解されるときにエネルギーが生まれ、脳やからだを動かす力となるのです。
1-2. 1日の推奨摂取量
糖質の1日における推奨摂取量は、生活スタイルや体質によって個人差があります。 一般的には1日のエネルギー摂取量のうち、糖質から50~60%摂取することを目標にしましょう。 たとえば、30代女性の1日の推奨エネルギー摂取量は2,050kcalなので、糖質の推奨摂取量は約250gとなります。
2. 糖質疲労とは
糖質は素早くエネルギーに変わる栄養素ですが、糖質の摂取が原因で疲れてしまうこともあります。 「糖質疲労」と呼ばれる状態の原因や症状を紹介します。
2-1. 糖質疲労の原因
糖質疲労の原因は、糖質の性質にあります。 前述の通り、糖質は摂取するとすぐにエネルギーに変化します。 ただし、これは一時的に血糖値が上がっているだけ。 補充されたエネルギーが消費されると血糖値が下がり、糖質疲労を引き起こします。 また、糖質を含む甘いものを食べると、ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質が分泌されます。
これらのホルモンは脳の働きを活性化してやる気を高めますが、やはりエネルギーが消費されるとドーパミンやセロトニンの分泌量も下がり、糖質疲労を引き起こすでしょう。
2-2. 糖質疲労の症状
糖質疲労の主な症状は、以下の通りです。 ・糖質が失われた後に急激な眠気に襲われる ・集中力や判断力が低下して、ぼーっとする ・糖質を摂る前よりも、だるさを感じる ・糖質を摂ったばかりなのに、すぐに甘いものがほしくなる 糖質によって一時的にエネルギーを補充しても、疲れを癒せたわけではないので、エネルギーを消費した後は眠気やだるさを感じるでしょう。
また、砂糖には依存性があります。 糖質によって疲れをとることに慣れると、からだが常に甘いものを求めるようになります。 甘いものを食べていないとイライラしたり、短時間の運動でめまいや立ちくらみを感じたりするようになるので注意してくださいね。
3. 糖質のメリットとデメリット
糖質疲労を引き起こすリスクがあるとはいえ、糖質は悪い栄養素ではありません。 糖質が持つメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。
3-1. メリット1:エネルギーの生成
糖質は人間のからだにとって、大切なエネルギーとなる栄養素です。 脳や神経系、赤血球、筋肉などが活動するためには、糖質が必須。 さらに、糖質には体温を維持する働きもありますよ。
3-2. メリット2:筋肉疲労の回復
糖質は筋肉の疲労を回復する効果を持つ栄養素です。 筋肉のエネルギー源は糖質の一種であるグリコーゲンで、運動によってグリコーゲンが減少すると運動を続けられなくなります。 運動強度が高いほどグリコーゲンの消費が激しくなり、回復にも時間がかかります。 運動後は、糖質を摂取して筋肉を回復させましょう。
3-3. デメリット1:糖質疲労
糖質はからだの維持や筋肉疲労の回復に役立ちますが、疲労をなくす働きをする栄養素ではありません。 疲れたときに糖質でエネルギーを補充するばかりだと、糖質がなくなった際に糖質疲労を引き起こすでしょう。
3-4. デメリット2:肥満や生活習慣病の原因
糖質を過剰に摂取すると、消費されなかった糖質が中性脂肪としてからだの中にたまります。 その結果、肥満や生活習慣病の原因となってしまうでしょう。 糖質が多い食事を摂る生活を続けていると、食事のたびに血糖値の乱高下が続く「血糖値スパイク」と呼ばれる状態になります。 この状態が長く続くと糖質疲労でだるくなるだけではなく、糖尿病や動脈硬化になる恐れもあります。
4. 糖質以外に疲れをとる方法
疲れたときに糖質を摂っても、一時的な対策にしかなりません。 根本的に疲れを解消する方法を4つ紹介します。
4-1. 睡眠や休養をとる
疲れをとるためには、睡眠や休養が大切です。 個人差がありますが、毎日7時間程度の睡眠時間を確保しましょう。 また、単に寝るだけではなく質の高い睡眠をとることが大切です。 睡眠の2~3時間前に38度前後のお風呂に入ったり、寝具を手触りのよいものにしたりして、睡眠の質を高めましょう。
目や肩のように特定の部位が疲れている場合は、その部分を重点的にケアすることも大切です。 アイマスクや湿布を使ってケアしてくださいね。
4-2. 食事の栄養バランスを見直す
食事の栄養バランスが崩れると、からだに必要な栄養を補充できません。 とくに、現代ではレトルト食品を食べたり外食をしたりすることが増えているため、タンパク質やミネラル、ビタミンといった栄養素が不足している方が多いといわれています。
レトルト食品や外食を利用する際は栄養が偏らないように意識して、栄養バランスを考えながらメニューを選びましょう。 どうしても必要な栄養素を摂ることが難しい場合は、サプリメントの活用もおすすめですよ。
4-3. 適度な運動
適度な有酸素運動には疲労を回復する効果があります。 有酸素運動を行うことで、心臓の拡張と収縮の機能が向上して循環機能が上がり、疲れを感じにくいからだづくりができるでしょう。 デスクワークや日々の決まった動作により固まった筋肉をほぐす効果も期待できます。
30分程度のウォーキングや、スイミングやサイクリングを始めてみてください。 運動に適した場所がない場合は、その場でできる30分程度の足踏みやラジオ体操でも構いません。 運動強度は低くてもよいので、気分転換に継続してくださいね。
4-4. 漢方薬の服用
疲れがたまっているときに、栄養バランスを整えたり睡眠時間を確保したり、適度な運動をしたりするのは難しいと感じる方も多いでしょう。 そういった場合には、飲むだけで効果が期待できる漢方薬の服用もおすすめです。 漢方薬によって体質改善を目指すことで、疲れにくいからだへのアプローチをすることができます。
疲れがたまっているときには、「胃腸の機能を回復し、食欲不振を改善する」「血流をよくして、栄養をからだのすみずみまで運ぶ」「自律神経を整えて、ストレスによる疲労を減らし、睡眠の質を高める」といった漢方薬の服用がおすすめです。
<疲れている方におすすめの漢方薬>
・十全大補湯(じゅうぜんたいほとう):疲れやすく、貧血傾向の方におすすめ。低下した胃腸の働きを改善し、貧血や食欲不振を解消します。(※1)
・人参養栄湯(にんじんようえいとう):手足の冷えや貧血がある方におすすめ。からだを温め血行を促進し、全身に栄養を届けることで疲労倦怠や体力低下を改善します。(※2)
・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう):気分がふさぎがちな方におすすめ。精神の緊張を和らげ、イライラや精神不安、不眠を解消します。(※3)
このような漢方薬を継続して服用することで、疲れにくいからだに向けたアプローチができるでしょう。 ただし、漢方薬を服用する際には、自分の体質や疲れの原因に合うものを飲まないと、思わぬ副作用が発現することがあります。 サプリメントを服用している場合は、併用することで思わぬ健康被害を受けることもあります。
そこで、おすすめなのが「あんしん漢方」のサービス。 薬剤師が最新のAIを用いて最適な漢方薬を提案してくれるので、誰でも安心して服用できますよ。 スマホで注文して自宅で受けとれるので、疲れで外出が億劫なときにもおすすめです。
5. 疲れにくいからだづくりをしよう!
仕事に打ち込んだり趣味を楽しんだりするためには、糖質の摂取で一時的にエネルギーを補充するよりも、疲れを感じにくいからだをつくることが大切です。 普段から生活習慣や栄養バランスに気を配ったり、サプリメントや漢方薬の服用をしたりしながら、疲れにくいからだを目指しましょう!
参考URL
(※1)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ十全大補湯エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=8540
(※2)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ人参養栄湯エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=9083
(※3)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ半夏厚朴湯エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=7949
<この記事の監修者>
あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり
薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストランなど15社以上のメニュー開発にも携わる。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
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