夏から秋にかけて感じる胃腸の不調は、「内臓冷え症」が原因かもしれません。
内臓冷え症は冷えを自覚しにくく、さまざまな体調不良を引き起こす恐れがあるので、注意が必要です。
内臓冷え症の原因や症状、内臓冷え症になりやすい方の特徴と併せて、改善方法を紹介します。
1. 内臓冷え症の原因
内臓冷え症には慢性的なものと一時的なものがあります。
それぞれの原因を確認しましょう。
1-1. 胃腸の働きの低下
慢性的な内臓冷え症の原因として最も可能性が高いのが、胃腸の働きの低下です。
通常、胃腸は食事をすると消化や吸収のために動き出し、エネルギーを消費して熱を生み出します。
しかし、胃腸の働きが低下していると、この熱を生み出しにくくなるのです。
さらに、胃腸の働きの低下によって、胃腸の筋肉が徐々に弱まります。
これにより胃腸の周囲の血流が悪くなり、さらなる冷えを招き、胃腸の働きが低下する、という悪循環に陥ってしまうのです。
1-2. からだが冷えた
一時的におなかが冷えることで、内臓冷え症になることもあります。
一時的な内臓冷え症の要因としては、以下のようなものが考えられます。
・急に外気温が下がった
・冷房によって室温が下がった部屋に長時間滞在した
・プールに入った
・水仕事をしていた
・入浴後に湯冷めをした
このような要因によって、一時的におなかが冷えて下痢や腹痛といった症状があらわれることがあります。
ただし、あくまで一時的なものなので、からだの冷えを改善したら症状も改善していくでしょう。
2. 内臓冷え症の症状
慢性的な内臓冷え症は、一時的なものと比べて症状を自覚しづらいといわれています。
慢性的な内臓冷え症の代表的な症状を紹介します。
2-1. 太りやすくなる
胃腸の働きは、基礎代謝の大部分を占めています。
そのため、胃腸が冷えて機能が低下することで、消費カロリーが減って太りやすくなってしまうでしょう。
さらに、胃腸の機能が低下すると、栄養の吸収もうまくできなくなります。
それにより、代謝をアップさせるために必要な栄養素が不足して、痩せにくいからだになってしまいます。
胃腸機能の低下によって、便秘になる方もいるようです。
便秘によっておなかがぽっこり出ると、太ったようなシルエットになる場合もあるでしょう。
2-2. 生理に関するトラブル
胃腸が冷えるということは、その周辺にある子宮も冷えやすくなっていることを意味します。
子宮が冷えることで生理痛がひどくなったり、生理不順が起きたりする可能性があります。
くわえて、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫といったトラブルに発展するリスクも。
2-3. からだが弱る
からだの免疫細胞の約7割は、腸に存在しているといわれています。
その腸が冷えると免疫細胞の働きが弱まり、免疫力が大きく低下する恐れがあるでしょう。
また、胃腸の機能が低下することで、必要な栄養素の吸収率が悪くなります。
これによって、からだに必要な栄養が不足して、風邪やインフルエンザにかかりやすくなる可能性もあります。
3. 内臓冷え症になりやすい方の特徴
以前は、内臓冷え症は体力がなく痩せ型の方がなりやすいものでした。
しかし、近年では食生活の変化といった要因で、体格のよい方でも内臓冷え症になるといわれています。
以下の特徴を持つ方は、内臓冷え症になりやすいので注意してください。
・冷たい炭水化物やお菓子の摂取が多く、食物繊維をあまり摂らない
・運動不足である
・姿勢が悪い
・デスクワークで、1日中声を出さないことがある
・からだを締めつける下着・衣服を身に着けている
・筋肉量が少ない
・汗をかきにくい
「最近、太りやすくなった」「以前よりも生理痛がひどくなった」という方は、一度自分の生活習慣を見直してみてくださいね。
4. 内臓冷え症の改善方法
内臓冷え症の改善には、以下のような方法がおすすめです。
4-1. 食事の見直し
内臓冷え症の予防や改善のためには、胃腸の機能を高めることが大切です。
そのためには、規則正しい食生活を心がけましょう。
また、胃腸を鍛える食材としては、食物繊維や発酵食品がおすすめです。
根菜類や納豆、ヨーグルトを食べてくださいね。
スパイスを摂ることで腸に刺激を与えるだけではなく、からだを温めたり代謝を促進したりする効果も期待できます。
食欲がないときもスパイスの香りがあれば食べやすくなるので、活用してみてください。
4-2. 服装の見直し
からだを締めつける下着や衣服は、血行を悪くしてからだを冷やす原因となります。
ゆったりとした服装を意識して、からだの冷えを防いでくださいね。
4-3. 適度な運動
適度な筋肉をつけると、筋肉による産熱でからだを温めることができます。
大腿筋を鍛えるスクワットや腹筋を鍛えるプランクなどで大きな筋肉を鍛えると、効率よく内臓冷え症を改善できますよ。
4-4. 漢方薬の服用
内臓冷え症の改善には、漢方薬の服用もおすすめ
「水分の偏りを調整して冷えを解消する」「血行をよくして熱を巡らせる」といった漢方薬を選び、根本的な改善を目指しましょう。
<内臓冷え症におすすめの漢方薬>
・大建中湯(だいけんちゅうとう):疲れやすく、胃腸の弱い方におすすめ。腹部を温め、胃腸の働きを高めます。(※1)
・温経湯(うんけいとう):冷え症で手足がほてる方におすすめ。からだを温めて血行を改善することで、冷えや生理痛、生理不順も改善します。(※2)
上記のような漢方薬を服用することで、食事内容の改善や運動だけでは内臓冷え症が改善しなかった方も、効果を感じる場合があります。
ただし、漢方薬は服用する方の体質に合っていないと、効果が出ないだけではなく副作用があらわれることも。
自分に合う漢方薬を見つけるためには、「あんしん漢方」のサービス利用がおすすめですよ。
薬剤師が最新のAIを用いて最適な漢方薬を提案してくれるので、知識がない方でも安心して服用できます。
5. 内臓冷え症はからだの中から温めよう!
自覚しにくい内臓冷え症は、放置するとさまざまな不調の原因になりかねません。
からだを温める食事や適度な運動、漢方薬の服用によって内臓冷え症を改善し、日々抱えている不調も解消していきましょう。
参考URL
(※1)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ大建中湯エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=8977
(※2)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ温経湯エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=9076
<この記事の監修者>
あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり
薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストランなど15社以上のメニュー開発にも携わる。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
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