疲れがたまって、寝てもなかなか回復しない場合「慢性疲労症候群」という病気の可能性があります。 慢性疲労症候群と普通の疲労の違いや、疲労への対処法を木村医師に解説してもらいました。
1. 慢性疲労症候群とは
慢性疲労症候群の主な原因や症状、診断方法や治療方法を紹介します。
1-1. 原因
慢性疲労症候群の原因は、はっきりとはわかっていません。 遺伝やウイルスによる感染症、免疫系の問題といわれていますが、現状では判明していないのです。 熱と鼻水が出るような短期間で治る病気にかかっているとき、あるいはその後に症状があらわれることが多いようです。
1-2. 症状
慢性疲労症候群の主な症状は以下の通りです。
・しっかり寝ても、疲れがとれない
・1日中、疲れている感じがする
・疲れすぎていて日常的な活動にも支障が出ている
・運動やストレスによって疲れがひどくなる
・集中力が低下する
・のどや頭、関節や筋肉、おなかが痛い
慢性疲労症候群では、このような症状が20~50歳の女性に見られることが多いようです。 ただし、他の年代の女性や男性でも同様の症状が出ることもあります。
1-3. 診断と治療方法
慢性疲労症候群には、明確な判断基準がありません。 前述の症状が6か月以上続いている際に、血液検査や尿検査によって他の病気が原因ではなく、薬の副作用ではないことが判明した場合、医師は慢性疲労症候群だと診断します。
治療方法は症状の緩和に加え、カウンセリングや段階的な軽い運動を医師の指導の下で行います。 通常は時間の経過とともに症状が改善しますが、数年かかる方もいれば、完全には治らない方もいます。
2. 普通の「疲れ」との違い
睡眠不足や栄養の偏りによる通常の疲労は、十分に休息をとったり不足している栄養素を摂ったりすることで回復します。 一方、そのような休息や栄養素の摂取では回復しないのが慢性疲労症候群の大きな特徴のひとつ。 「どんなに休んでも疲れがとれない」という状況が長く続いている場合、内科を受診してくださいね。
3. 疲れを感じたときのおすすめセルフケア
慢性疲労症候群とは違い、通常の疲れはセルフケアで改善することができます。 疲れを放置せず、解消するためのおすすめのセルフケアを3つ紹介します。
3-1. 質の高い睡眠
疲れをとるためには、質の高い睡眠が必須です。 寝る2時間前にはスマホやパソコンから離れて、リラックスしましょう。 副交感神経を優位にさせるために、38度くらいのぬるめのお湯に浸かることもおすすめです。 疲れていてもシャワーだけですませず、からだを休ませてくださいね。 寝室の環境を整えることも、質の高い睡眠のためには重要なポイント。 一般的に、室温は20度前後で、湿度が40~60%くらいの環境が睡眠環境として優れているといわれています。 温度計や湿度計を使って、調節してみましょう。
3-2. バランスのよい食事
忙しいと食生活が偏りがちですが、バランスのよい食事も疲労回復のためには重要なポイントです。 とくに、現代人は以下の栄養素が不足しがちだといわれています。 ・タンパク質 ・食物繊維 ・ビタミン ・ミネラル これらの栄養素を効率よく摂るためには、キノコ類や海藻類の摂取がおすすめです。 普段の食生活で意識してくださいね。 バランスのよい食事は、疲労の回復だけではなく健康寿命の延伸やダイエット、美肌の維持にも効果的ですよ。
3-3. 漢方薬によるケアもおすすめ
質の高い睡眠やバランスのよい食事が疲れのケアに最適だとわかっていても、疲れているときにそこまで頑張れない、という方もいるでしょう。 そういう方には、飲むだけで効果が期待できる漢方薬の服用がおすすめです。 漢方薬は、足りない栄養を補うだけでなく、消化・吸収の機能を改善し、必要なところに栄養を届ける手助けをしていくので、根本から疲れやだるさの改善を目指すことが可能です。
<疲れを感じる方におすすめの漢方薬>
・酸棗仁湯(さんそうにんとう):からだにたまった熱を冷まし心を落ち着かせることで、疲労やストレスを伴う不眠に用いられます。(※1)
・十全大補湯(じゅうぜんたいほとう):血(けつ)を補い血流をよくする働きがあります。貧血の他、疲労倦怠、食欲不振、低血圧症などにも用いられます。(※2)
このような漢方薬を用いることで、疲れにくいからだ作りができるでしょう。 ただし、漢方薬を飲む際には自分の体質に合うものを選ばないと、効果があらわれずに副作用に悩まされることがあります。 そこで、「あんしん漢方」のサービスがおすすめ。 薬剤師が最適な漢方薬を提案するサービスなので、誰でも安心して服用できますよ。
4. 疲れは放置せずにすぐに対策を!
「からだが疲れている」と感じたときは、すぐに対策することで回復を早めることができます。 普段よりも疲れがたまっているときは、できるだけ早く回復させてくださいね。
(※1)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ酸棗仁湯エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=9077
(※2)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ十全大補湯エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=8540
<この記事の監修者>
医師
木村 眞樹子(きむらまきこ)
都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科に在勤。総合内科専門医・循環器内科専門医・日本睡眠学会専門医。産業医として企業の健康経営にも携わる。
自身の妊娠・出産、産業医の経験を経て、予防医学・未病の重要さと東洋医学に着目し、臨床の場でも西洋薬のメリットを生かしながら漢方の処方を行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行う。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方)