「小学生から高校までずっと一緒に遊んだ幼馴染が、ついに結婚するらしい――」
23歳・社会人1年目のAさん(仮名)は、そんな嬉しい知らせを受け取った。
しかし、祝福の気持ちを抱く一方で、胸にはある“大きな悩み”が渦巻いていた。
突然の結婚式とギリギリの日程
Aさんが幼馴染と最後に会ったのは、前の年の12月上旬。
結婚の報告は受けていたものの、式の日取りは「6月くらいかな」とぼんやりと聞いていた。
ところが、急な理由で日程が前倒しに決まり、招待状が届いたのは結婚式のわずか50日前。解答期限も1週間後に迫っていた。
「気軽に出席を決めるには、あまりにも時間がなさすぎる……」と、Aさんは少し戸惑っていた。
海外旅行の“キャンセル料10万円”という壁
戸惑いの原因は、すでに予約していた海外旅行の存在だ。
Aさんの会社が創設記念として企画した特別プランで、通常価格の5分の1という破格のツアー。
次に同じ企画があるのは10年後かもしれないと言われているほど貴重なチャンスだった。
ところが、この旅行は基本キャンセル不可。もし解約するならキャンセル料だけで10万円が必要だという。
さらに、結婚式に出席するためにはドレスや靴、新幹線代、ご祝儀など、総額で別途10万円前後の出費がかかりそうだった。
「大事な友人の式に行くべき?」と揺れる思い
幼馴染とは、小学校から高校までの約15年間、ずっと一緒に過ごしてきた仲だ。
遠距離恋愛の相手を追いかけて地元を出た幼馴染と少し疎遠になっていたとはいえ、Aさんにとっては大切な存在。
しかし、式当日は地元から新幹線の距離で開かれるリゾート婚スタイル。
「旅費に加え、服装やヘアセット、ご祝儀も必要で、結果的にかなりの出費になりそう……。
本当にそれだけのお金を払ってでも参加するべきなのか?」とAさんは悩んでいた。
しかも、新婦が招待している他の同級生5人との付き合いはあまり深くないという。
“今しか行けない海外旅行”か、“幼馴染の晴れ姿”か
一方で、会社の特別プランによる海外旅行は、Aさんにとって“今しか行けない”と言っても過言ではない。
社会人になりたてのAさんの経済状況を考えれば、超お得なチャンスを逃すのは痛い。
「大切な友人の晴れ姿を見られないかもしれない」という後ろめたさと、「めったにない海外旅行の機会を失うかもしれない」という焦りの間で、Aさんは板挟み状態だった。
決断のポイントは“自分が最も後悔しない選択”
もちろん、どちらを優先しても「正解」「不正解」はない。
幼馴染の結婚式に出席して心から祝福するのも素敵なことだし、社会人1年目の今しかできない特別な海外旅行を楽しむのも大きなチャンス。
Aさんが今、一番大切にしているものは何なのか。どちらを選んでも、あとで後悔する可能性はあるが、「より自分らしい判断」をするしかないのだろう。
「大切な幼馴染だからこそ、結婚式を逃したら二度と見られない貴重な瞬間。だけど、海外旅行も10年先までないかもしれない――」
締め切りはあと少し。
Aさんは、これからの人生を左右するかもしれない“重大な二択”に、真剣に向き合い続けている。