アイルランド出身の新進デザイナー、シモーネ・ロシャ(Simone Rocha)は、自身のファッションのキャリアの展開に、ある意味自分で呆気に取られることもあるようだ。
2011年にロンドン・ファッションウィークでコレクションデビューし、現在ではロンドンで活躍中の彼女にとって、デザイナーになった事はとても意識的な選択の結果と思われがちであろう。シモーネの父は、自身のブランドを立ち上げ、80年代から活躍している香港出身でアイルランド在住の、長髪がトレードマークの名デザイナー、ジョン・ロシャ(John Rocha)氏であるからだ。
しかし、幼い時から父の仕事を手伝っていたシモーネではあるものの、父と同じデザイナーになるように特に育てられてきたわけではない、と強調している。
「変な感じだわ。とんでもないこと、と思ったりもする。こうなるように、計画を立てたことなんてないのよ」 と、英版 Harper’s Bazaar誌でシモーネは語っている。
「周りから見れば、そうとは思われないのは承知しているわ、でも、父と同じ道を歩むことになったのは、本当に、ただ自然の成り行きにまかせただけのことなのよ」
シモーネの手がけた花柄のドレスは、もっとも人気のあるデザインのひとつで、モデルのローラ・ベイリー(Laura Bailey)、アレクサ・チャン(Alexa Chung)、女優のクロエ・グレース・モレッツ(Chloë Grace Moretz)など、多くのセレブに選ばれている。 既にファッション業界に強い印象を与えたシモーネとあって、父ジョンと比べられることはほとんどない。 またシモーネは、ファッション業界人一家出身のデザイナーは珍しいことではないと考え、特に不思議なことではないと思っているとも言う。
「業界一家の出身である意味は、見方次第だと思うの」と、彼女は考え込んだ様子で語った。
「一家でファッションに携わっている家族は、それなりにたくさんいるでしょ?例えばイタリアにはすごく多いと思う。でも、アイルランドには、そういった家族はたまたま少ないだけ。だから、わたしがデザイナーになったことには、きっとそれなりに理由があると思う。もっとも、家族というものは、互いの力を合わせて動くもの。まさに、それがいままでの私の人生だった・・・何が言いたいか分かるかしら?わたしの家族はとても絆が深いの。ロシャというファミリーネームを持っていることを、とても名誉なことだと感じているわ」
女優のキーラ・ナイトレイ(Keira Knightley)のようなセレブ達が、自分のデザインした衣装を着ている姿を見る事は、シモーネにとって大きな喜びではあろう。しかし、シモーネはインターンの学生たちが彼女の洋服を着ているのを見ると、それも嬉しいことだという。
「とても光栄だと思うの」と言って、ほほ笑んだ。
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