GLAM Editorial

2020.09.25(Fri)

『美肌菌』のメカニズム、知ってますか?


「美肌菌」というワードを最近よく耳にするようになりました。美容に関心のある人は、きっと気になっているワードでしょう。実は今、世界的に美容皮膚科学で注目を集めているトピックなのです。
そこで今回は、美肌菌とは何か、そして美肌菌にアプローチするスキンケアと化粧品をご紹介します。美肌菌の知識を増やして、自分のスキンケアのレベルを上げましょう!
今回は、皮膚科医の慶田朋子先生監修の下、お届けします。

いま話題の「美肌菌」とは

「美肌菌」とは、皮膚常在菌の中でも「表皮ブドウ球菌」を主とする肌の保護に役立つ菌のこと。皮膚常在菌とは、私たちの皮膚の上にすんでいる300種類もの菌のことで、美肌菌のほか、悪玉菌などもいます。

悪玉菌とは、肌に悪影響を与える菌のことで、炎症や肌荒れの原因となる「黄色ブドウ球菌」などのこと。表皮ブドウ球菌のような美肌菌と、黄色ブドウ球菌のような悪玉菌は、互いに牽制しあい、バランスをとりながら共存しています。そのバランスは人によって本当にさまざまで、個人差があります。

美肌菌の役割

美肌菌は、私たちの肌でとっても嬉しい働きをしてくれているんですよ。どんな役割があるのか見ていきましょう。

●肌のバリア機能を保つ役割 美肌菌の「表皮ブドウ球菌」は、肌のうるおいを保つグリセリンや、肌を弱酸性に保ちながら雑菌・黄色ブドウ球菌の繁殖を防ぐ働きのある脂肪酸を生成し、肌のバリア機能を保ってくれます。いってみれば肌の天然保湿クリームを作ってくれて、さらに有害物質から肌を守ってくれているのです。



●肌のバリア機能を3方面から強化する役割
美肌菌は、物理的バリア、生物学的バリア、免疫学的バリアの3つのアプローチから肌のバリア機能を強化してくれます。
物理的バリアでは細胞同士の密着・結合を強化し、隙のない壁を作り、生物学的バリアでは抗菌作用のある「抗菌ペプチド」の産生及び促進をし、黄色ブドウ球菌や溶連菌などの悪玉菌を選択して殺します。免疫学的バリアでは免疫細胞「T細胞」に必要な働きをするよう指令を出します。

美肌菌は、私たちが理想とする本来の美しく健康な素肌を作るのに守ってくれる存在であることがわかります。皮膚の上で、この美肌菌がすみやすい環境をつくり、常在菌バランスを整えることが美肌を保つためには重要です。

美肌菌バランスを整えるスキンケアとは

では、この美肌菌のバランスを保ち、美肌菌がすみやすい環境を作るにはどんなスキンケアを心がけると良いのでしょうか。具体的に見ていきましょう!

1.洗顔で皮脂をしっかり落とす 洗顔では、皮脂をしっかり落とすことが重要です。皮脂を落とさないよう洗顔そのものをしなかったり、水やお湯でしか洗わなかったりすると、古い皮脂が残り、酸化皮脂に変わることで肌の炎症を引き起こし、悪玉菌の増殖につながります。また皮脂が毛穴に詰まると無酸素状態になり、好脂性で嫌気性という特性を持つアクネ菌が増殖しすぎてしまいニキビの原因になります。アクネ菌は皮脂分泌を促す性質もあるので、さらに皮脂量が増えるという悪循環になってしまいます。低刺激設計の洗顔を選び、きちんと泡立てて丁寧にやさしく洗うのがポイントです。

2.たっぷりと保湿 美肌菌育成のためには、たっぷりの保湿が欠かせません。美肌菌の表皮ブドウ球菌の増殖には、湿った環境、つまり適度に肌がうるおった状態を作ることが重要です。

3.美肌菌バランスを崩すNGケアを避ける スキンケアを実施する際には、次のことは避けるようにしましょう。

・洗顔後にひりひりと肌が突っ張るほどの強い力で洗う
・毎日、毛を剃る
・垢すりをする
角層を傷つける行為は、美肌菌のすみかであるうるおい豊かな角層を破壊してしまうため、NGです。

美肌菌を育てるスキンケア化粧品の選び方


美肌菌が私たちの肌の中で育つためには、スキンケア化粧品を上手に選ぶことが大切です。美肌菌の育成環境を整えるために処方設計されたものも増えてきています。

美肌菌を育てるためには、美肌菌のエサとなる酵母やビフィズス菌などの成分が配合され、肌にも存在するグリセリンやセラミド、ヒアルロン酸など、水分をたっぷり抱える力がある保湿成分がプラスできるものが理想的です。


【監修】


皮膚科医 慶田朋子先生
東京女子医科大学医学部医学科卒業。同大にて皮膚科助手、美容クリニック勤務などを経て、銀座ケイスキンクリニックを開設。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・日本レーザー医学会認定レーザー専門医。
最新の医療機器と注入治療をオーダーメイドで組み合わせ、「切らないハッピーリバースエイジング(R)」(メスを使わない若返り)を叶える美容皮膚科医として活動。著書に『女医が教える、やってはいけない美容法33』(小学館)など。

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