地球環境保護のために、プラスチック削減を意識しているという方も多いのでは?
パッケージが地球環境に配慮されているかどうかがこれからの製品選びにおいても重要になってくると語るのは、SDGsや企業ブランディングに詳しい株式会社揚羽の黒田天兵さん。
「令和4年4月1日、日本で『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律』(プラスチック資源循環法)が施行されました。同法により、あらゆるプラスチック使用製品を取り扱う事業者には、プラスチックの使用量の削減、プラスチック以外の素材への代替などの取り組みが求められます。英国でも、プラスチック製包装材の生産者と輸入者に対し、使用されたプラスチックのリサイクル率が30%未満のものを課税対象となる「プラスチック製包装税」が導入されるなど、世界各国でプラスチックごみ削減に関する規制が敷かれ、すべての企業が無視できないテーマとなっています。
さらに、ある企業のサステナブルな取り組みを知る消費者は、他の消費者に比べ同社の製品の購入意欲が高かったという事例もあります。このように、プラスチック削減に向き合うことは、企業にとってブランディング・マーケティングの観点でも切り離せない取り組みと言え、今後も脱プラに向けた動きはますます広がって行くはずです。」(黒田さん)
まるで美しい折り紙! この構造が実は紙の使用量を削減
3種のヒアルロン酸と「肌用ビタミンC」といわれるヒアルロン酸アスコルビルプロビルとヒト幹細胞培養液などの豪華な美容成分を効率よく肌に届けてくれるハイブリッドエクソソームに包んで配合した美容液「ワビオ ステム アクティブ エッセンス(美容液)」の外箱も紙パッケージ。
高品質な美容液の性能を体現した、まるで折り紙細工のような美しいパッケージはどう着想されたのかというと…
「ワビオ ステム アクティブ エッセンス(美容液)のリニューアルに際してパッケージのスリム化を進めたところ、日本人が親しんできた「折る」「包む」技がヒントになり、使用紙量を約30%削減し、石油由来のウレタンクッションを廃止することができました。毎日のエイジングケアを、軽やかな気分で永く使い続けていただければと考えています。」(パシフィックビューティー 代表 齋藤結花さん)
愛猫のフードだって、紙パッケージのものが選択できます
ネスレ日本株式会社 ネスレ ピュリナ ペットケアは、主力のねこ用おやつ「モンプチ クリスピーキッス」大袋製品の外袋をプラスチックから紙パッケージに、2022 年 3 月から順次変更。この紙パッケージは、雑がみとして古紙回収に出せる素材で、紙資源になるそう。
世界 186 ヶ国で事業を展開する世界最大の食品・飲料企業であるネスレは、2025 年までに製品の包装材料を100%リサイクル可能あるいはリユース可能にすること、バージンプラスチックの使用量を 3 分の 1 削減することをコミットメントとして掲げており、このたびのパッケージ素材の変更は、その一環だというすです。この紙パッケージ化により年間約 78 トン※のプラスチック削減を見込んでいるそうです。
(※ネスレ ピュリナ調べ)
ネスレ ピュリナのCSV の取り組みは「PURINA CARES(ピュリナ ケア)」(https://nestle.jp/brand/purina/purinacares/)で公開されており、製品に使用している代表的な原材料も調べられたり、全国各地やオンラインで開催している、保護猫カフェのような車内空間を持つ「ネコのバス」を活用した譲渡会の情報なども発信。
ネスレ日本 ネスレ ピュリナ ペットケア マーケティング統括部長 大谷 謙介氏によれば、「私たちは、ペットとペットオーナーの皆さまに、ご満足いただける製品を提供し続けるのはもちろんのこと、ペットと私たちが生きる社会がいつまでも豊かで健やかなものとなるよう、人とペットの共生、さらには持続可能な未来のために様々な取り組みを行っています。製品の外袋の紙パッケージへの変更や、『ネコのバス』を活用した保護猫の譲渡会の活動もその一環です。」ということ。
大事なペットの食べ物は、材料が信頼できることももちろんですが、社会問題の解決に取り組んでいるメーカーから選びたいですよね。
ペットボトル全廃の先駆け。ユーグレナ
株式会社ユーグレナでは2020年からペットボトル廃止を推進。当時18歳のCFO(最高未来責任者)であった小澤杏子さんの発案がきっかけで実行されたといいます。
主力飲料製品「からだにユーグレナ」でも、ペットボトル商品を全廃、紙パックへ移行し、カートカン商品(「からだにユーグレナ グリーンスムージー 乳酸菌」)のユーグレナオンラインでの販売ではストローありなしを選べるようにしてあったり、ストローの一部原料にバイオプラを使用する、外装フィルムを使用しないといったプラスチック削減の努力がされています。
からだにユーグレナ シリーズ
「『お客様が当社の商品を選択するだけで、意識せずとも環境問題解決のための行動変容を起こしている状態を作る』ことを目指しています。現役世代のお客様が、当社商品の使用を通して意図せずに将来世代の環境に負荷をかけてしまうことは、企業のつくる責任として避けなければならないと考えております。今後は、商品のプラスチック削減に向けた取り組みにとどまらず、当社は環境に配慮した行動につながる施策を続けていきます。」(株式会社ユーグレナ 広報宣伝部 部長 北見裕介さん)
自分や愛する家族がハッピーになるはずのアイテムが地球を傷つけてしまうなんて、ちょっと悲しいですよね。これからのプロダクト選びでは、地球環境への配慮がなされているかをパッケージからジャッジしていくことも心掛けたいですね。
監修者プロフィール 黒田天兵さん
株式会社揚羽 SDGsトランスフォーメーショングループ グループ長。長らく、理念策定と従業員への浸透の専門家として様々な企業の意識改革・風土改革に従事。2019年、国連のグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンの社内浸透分科会での講演を契機として、現在はSDGs・サステナビリティのコミュニケーションに注力。経営から現場まで、従業員を広く巻き込みながらSDGsを企業経営やビジネスに組み込む支援をしています。著書に『組織は「言葉」から変わる』(朝日新聞出版)