マスク生活が長期化するなか、マスクによる肌トラブルに悩む方も多いですね。
とくに、夏に向けて徐々に気温と湿度が上がるこの時期は、マスクによる肌トラブルが増える時期でもあります。
マスク荒れ対策をしっかりすれば、マスクの影響を受けない綺麗な素肌も夢ではありません。今回は気軽にできるマスク荒れ対策をご紹介します。
1.マスク着用によって起きる肌荒れの原因は?
マスクを着用すると、どうして肌荒れが起こるのでしょう。主な原因には次のようなものがあります。
1-1.摩擦による刺激
マスクをしていると、マスクの着脱の時、口回りが動く時、ずれをなおす時など、常にマスクと肌がこすれている状態が続きます。
肌の表面には「角質層」があり、外からの摩擦、紫外線、雑菌などから肌を守っています。この肌の「バリア機能」が正常に働いていることで肌は健康な状態を保つことができるのです。
しかし、マスクと肌の摩擦が繰り返されると、その刺激によって肌の角質層がダメージを受けて、肌のバリア機能が低下してしまい、肌荒れの原因となります。
1-2.乾燥
マスク内は高温多湿の状態になっているので乾燥しないのでは……と思う方もいると思います。
しかし、高温多湿の状態が続くと、マスク内の肌は常にふやけた状態で、肌のバリア機能が低下しやすくなります。
それに加えて、マスクを外した時にマスク内の水分とともに肌の表面の角質層の水分まで一緒に蒸発してしまうので、肌の乾燥が一気に進むようになるのです。
2.今日から試したい! マスク着用による肌荒れの対処法
マスクによる肌荒れをすぐにでもなおしたい! そんな方に、毎日の生活のなかでできる対処法をご紹介します。
2-1.丁寧なクレンジング
肌のバリア機能が低下した状態では、雑菌への抵抗力も下がりがち。ニキビなどの肌の感染も起こりやすくなります。肌の清潔を保つため、毎日のクレンジングは丁寧にしましょう。
でも、ごしごしこすることは肌への刺激になって、バリア機能のさらなる低下を招きます。洗顔料をしっかり泡立てて、泡でやさしく洗うことをおすすめします。
また、洗顔料はぬるま湯で丁寧に洗い流しましょう。タオルでごしごしふき取るのもNG。タオルをやさしく肌に押し当てるようにしてふき取りましょう。
2-2.しっかり保湿
洗顔の後もほおっておくと、肌についた水分と一緒に角質層の水分まで蒸発してしまいます。洗顔後はできるだけすぐにしっかり保湿をしましょう。
肌荒れがある場合は低刺激性の保湿剤がおすすめ。乾燥が進んでいる場合は、化粧水と乳液を重ねて保湿をすると保湿力がアップします。
また、マスクを外した時にも保湿をすると乾燥を防ぐことができます。
3.マスク着用による肌荒れは予防できる!
マスクによる肌荒れは、起こってしまう前に予防するのがベスト。マスクによる肌荒れの予防方法をご紹介します。
3-1.マスクの選び方を工夫する
マスクによる肌荒れの原因は、マスクの摩擦と長時間続くマスク内の高温多湿状態です。
まず、マスクの摩擦による刺激を避けるためには、立体型マスクがおすすめ。肌とマスクの接着面が少なく、マスクによる摩擦を最小限にすることができます。
また、マスクによる高温多湿状態を避けるためには、通気性の良いマスクがおすすめ。
新型コロナウイルスへの感染を防ぐために飛沫を遮断する機能の高いものを選ぶことが前提ですが、通気性の良いもの、肌にやさしいもの、冷感があり汗を防げるものなど、さまざまな種類の不織布マスクが販売されています。
自分の肌の状態に合わせて選んでみてください。
3-2.生活習慣を見直す
体調が悪かったり、ストレスがたまったりすると肌荒れが起こりやすくなるように、肌の状態はからだと心の健康のバロメーターともいえます。
からだの健康と心の健康を保てるように、毎日の生活を見直してみましょう。
からだの健康にはバランスの良い食事、定期的な運動、良質な睡眠の3つが基本。3つを一気に改善することは難しくても、改善しやすい1つのことから始めてみるのはいかがでしょうか。
忙しい生活のなかでも、まずは1つのことをかえりみる時間をつくってみましょう。
また、心の健康にはストレスを解消するリフレッシュの時間が大切。趣味に没頭する時間も良いですし、ウォーキングや散歩などの軽い運動やストレッチの時間を作ることは、からだの健康にもつながり一石二鳥です。
3-3.漢方薬で内側からもアプローチ
マスクによる肌荒れを内側から根本的に解決したい! という方には漢方薬がおすすめです。
漢方には「気・血・水(き・けつ・すい)」の概念があり、健康でいるためには、この3つのバランスが整っている状態が必要だと考えられています。
一言で説明すると、「気」はエネルギー、「血」は血液やからだを巡る栄養、「水」はそのほかの体液をあらわします。
この3つの巡りの状態で人体を捉える漢方独自の考え方をもとに、一人ひとりの体質(証)に合わせた生薬の組み合わせによって、からだ全体の「気・血・水」のバランスを整えて理想的な健康状態へと導きます。
つまり、さまざまな不調は、これら3つのバランスに偏りが出ることであらわれると考えるのです。
肌荒れには、発疹などの炎症を抑える抗炎症作用、からだの中の菌の増殖を防ぐ抗菌作用、からだの60%を占める水分の巡りを改善して老廃物や毒素を排出する作用、血流を改善して皮膚にまで栄養を行きわたらせる作用などをもつ生薬を含む漢方薬を症状と体質から選びます。
<マスクによる肌荒れにおすすめの漢方薬>
・清上防風湯(せいじょうぼうふうとう):顔面および頭部の発疹で発赤の強いもの、化膿しているものなどに使われます。
清上防風湯は炎症を抑えて熱を冷ます作用のある生薬が複数含まれており、マスクによる肌荒れのうち、顔のニキビを中心とした症状に効果が期待できます。
・ヨクイニン:ヨクイニンはイボの治療にも使われますが、肌荒れにも効果的な漢方薬です。
ヨクイニンはハトムギの種皮を取り除いた種子からエキスを抽出して作られます。「水」の巡りを良くすることで熱を冷まして炎症を取り除く効果があり、ニキビのほか、肌荒れ全体に効果が期待できます。
ただ、からだにやさしい漢方薬とはいえ、自分の体質に合っていなければ、良い効果が見込めないだけでなく、からだへのダメージを与える場合もあります。自分に合う漢方薬を見つけるためにも、購入時には、できる限り漢方に詳しい医師、薬剤師にご相談ください。
お手頃価格で不調を改善したい、という方にはスマホで気軽に薬剤師に相談できる「あんしん漢方」のような新しいサービスもおすすめです。AIと漢方のプロが、効く漢方を見極めて、お手頃価格で自宅に郵送してくれる「オンライン個別相談」が話題です。
4.マスク荒れ対策で綺麗な素肌に
マスクによる肌荒れの原因は、マスクの摩擦による刺激や乾燥です。そして、それに対処するためには丁寧なクレンジングと保湿が大切。
また、マスク選びを工夫したり生活習慣を見直したり、漢方薬を取り入れたりすることもおすすめです。なお、漢方薬を服用する場合は、自分にあった漢方薬を知るためにも専門家に相談するとよいでしょう。
<この記事を書いた人>
皮膚科医 金城 里美 医師/薬剤師
東京大学薬学部卒業後、医師を目指して、東京医科歯科大学医学部に入学。
体、精神とも関わって多様に現れる皮膚の病態に興味を持ち、皮膚科医の道を選ぶ。
卒業後、大学病院、総合病院、クリニックでの皮膚科勤務を経て、一般皮膚科から美容皮膚科まで皮膚科領域の診療を幅広く行う。現在、総合病院の皮膚科常勤医として勤務。
皮膚がより良くなることで、その人の毎日がより明るくなることを目指して日々診療を行う。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=212333e3glam0001