「結婚することになった」と友だちから聞いたとき、多くの人は「おめでとう!」と心から祝福することでしょう。しかし、結婚したら独身時代より幸せになるとは限りません。
世の中には、「結婚=したほうがいいもの、良きもの」というイメージがたくさん流布されています。このイメージは事実ではありません。結婚後、独身時代より、多くの労働を強いられるようになったり、心と体に傷をおったり、不幸になるケースも少なくないのです。
今回は、結婚をして不幸になる場合もある、という事実を簡単に解説していきます。
結婚=幸せ? それとも、家父長制強化のシステム?
結婚は、好きになったふたりがパートナー関係を結び、平等な関係を築くもの……とは限りません。結婚をきっかけに、それまで自立していた女性が、男性の従属物として扱われるケースも多々あるのです。
男性は、結婚すると同時にご主人様になれますが、女性はなれません。女性は苗字を奪われて、同時に尊厳を奪われることも珍しくないのです。
結婚した男女は、たとえ共働きであったとしても、女性の方が家事や育児を主となり担うケースが多数派です。
つまり、結婚するということは、男のお世話をするという労働が増えるということでもあるのです。
日本の女性は、世界一睡眠時間が短いと言われています。
労働時間が長すぎるからです。既婚者の女性の場合、パートなどの仕事と家事・育児の時間を合計すると、ほとんどの場合、男性よりも労働時間が長いといいます。労働時間は長いですが、給与は低いのです。
「結婚して、夫の給料で生きていけるのだから、女のパートに適正な賃金を払う必要はない」という常識が、いまだに様々な職場でまかり通っています。保育士や秘書、歯科衛生士という女しかいない給与が低いのはなぜ? その仕事が簡単だからですか? 違います。女の仕事だから、給料が低いのです。
大学を卒業し、華々しいキャリアを歩んでいた女性だって、子供ができていったん仕事を離れてしまえば、その後は、「主婦のお小遣い稼ぎ」程度の給与で買いたたかれます。
結婚したら、女性の生涯賃金が下がることは多々あります。
専業主婦になったとしても、離婚したら貧困まっしぐらです。日本のシングルマザーのふたりにひとりは貧困ライン以下の生活を余儀なくされています。
そもそも、経済力がなければ、夫から暴力をふるわれたり、モラハラをされていたりしたとしても、離婚する選択肢はなくなります。
最悪の場合、一生、奴隷のようにつまらない男に尽くさなければならない可能性があるのです。
結婚を推奨しているのは誰?
これまで、女性は、妙齢になると結婚を焦るとことが多いとされていました。「もう○○歳だからあとがない」と焦った経験がある女性もいるでしょう。
ですが、誰が推奨しているのか、一度立ち止まって考えてみる必要があるでしょう。
日本政府は、少子化を解消するための一手として、結婚率を上げることを推進しています。
女性に子どもを産んで、育ててほしいから、結婚が推奨されているのです。
子育てでいったん職場を離れたら、女性の賃金は下がります。キャリアが完全に断たれてしまうかもしれません。実際、高齢の女性の貧困率はとても高いのです。夫が死んだあと、厚生年金に入っていた夫の年金が受け取れず、急に貧困化する女性も珍しくありません。
「男がいなかったら貧困化する」こと自体は、ほとんど問題にされず、キラキラした結婚のイメージばかりが吹聴されています。
目を覚ましましょう。
結婚=幸せ? 誰にとっての、幸せなのでしょうか。
(今来 今/ライター)