「生理前のイライラで、パートナーや身近な人にあたってしまう」
「つい子どもをきつくしかって後悔する」
「いつもは気にならないことが気にさわる」
このような悩みをかかえていませんか?
生理前にイライラすると、感情をコントロールできなくてつらいですよね。とくに日照時間が少ない冬場は、精神を安定させる「セロトニン」の分泌量が低下しやすく、PMSの症状が強くなるといわれています。
そこで今回は、PMSが起こる原因や、イライラを抑える方法について、薬剤師がご紹介します。
1 PMSとは?
PMS(月経前症候群)は「Premenstrual Syndrome」の略で、月経の3~10日ほど前にはじまる、以下のような精神的・身体的な不調のことです。
<PMSの症状の例>
・イライラ
・不安感
・怒りっぽくなる
・集中力の低下
・頭痛
・下腹部痛・頭痛
・むくみ
・胸の痛み など
これらのなかでも、多くの女性がとくに感じやすい症状が「イライラ」です。
2 PMS(イライラ)の原因とは?
PMS(イライラ)の主な原因は、月経前に「エストロゲン」や「プロゲステロン」といった女性ホルモンが急激に減少することだと考えられています。その結果、脳内のホルモンや神経伝達物質に影響し、イライラなどの症状がでるのです。
また、とくに日照時間が少ない冬場は、精神安定作用のある「セロトニン」というホルモンの分泌量が低下しやすく、PMS症状が強くあらわれやすいといわれています。
3 もうイライラしたくない! PMSの対処方法
「周りの人にあたりたくないのに、どうしてもイライラしてしまう……」という方に向けて、日々の生活のなかで実践しやすいPMSの対処方法を3つご紹介します。
3-1 ビタミンB6やカルシウム、マグネシウムを摂る
月経前のイライラを抑えるためには、ビタミンB6やカルシウム、マグネシウムを豊富に含んだ食事を摂るとよいでしょう。これらの成分は、イライラを和らげて情緒を安定させるのに役立ちます。
ビタミンB6はかつおやレバー、カルシウムは乳製品や小魚、マグネシウムは魚介類や大豆製品に多く含まれます。また、マグネシウムとビタミンB6はセットで摂取することでPMS症状を緩和するといわれています。
3-2 イソフラボンを摂る
イソフラボンは女性ホルモンに似た働きをもち、PMS症状の緩和に効果的な成分です。納豆や豆腐、豆乳などに多く含まれます。
3-3 ウォーキングやストレッチをする
ウォーキングやストレッチなどの軽い運動をすると血流が改善し、イライラや不安感といったPMS症状の緩和が期待できます。頭痛や腹痛などのつらい症状がある場合は無理をせず、自宅でリラックスしながらできる運動をしましょう。
4 PMS(イライラ)対策には漢方薬もおすすめ!
月経前のつらいイライラを解消するには、ビタミン・ミネラル、女性ホルモンに似た「イソフラボン」を食事から摂取したり、軽い運動でリフレッシュしたりすることが大切です。それらの工夫に加えて、からだの内側から対策できる漢方薬の活用もおすすめですよ。
月経前のイライラの原因は、ホルモンバランスの乱れやストレス、過労、血流不足などが考えられます。
改善するには、「ホルモンバランスの乱れを改善する」「自律神経のバランスを整える」「イライラを鎮める」「気分の落ち込みを改善する」「消化・吸収機能を改善してからだの内側から心を元気にする」「血流をよくして自律神経の乱れを改善する」などの生薬を含む漢方薬を選びます。
漢方薬で心とからだのバランスを整えることで、月経前のイライラだけでなく、月経痛や月経不順など、さまざまな不調を同時に根本改善することも可能です。
ここでは、PMS症状(イライラ)の改善におすすめの漢方薬を2種類紹介します。
<PMS症状(イライラ)の緩和におすすめの漢方薬2種>
・抑肝散(よくかんさん):「肝」の高ぶりを抑えることで、神経症や更年期障害に効果があります。(※1)
・加味逍遙散(かみしょうようさん):「気」の巡りをよくして「血(けつ)」を補い、女性ホルモンの乱れを整えることで、精神不安やイライラに効果があります。(※2)
漢方薬を選ぶ際に重要なポイントは、自分の症状や体質に合ったものを選んでいるかどうかです。症状や体質に合っていないと効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用を招く可能性もあります。購入時には、必ず漢方薬に詳しい医師や薬剤師に相談しましょう。
しかし、どの漢方薬が適しているのかを自分自身で見極めるのは、なかなか難しいですよね。最近では、AI(人工知能)を活用した「あんしん漢方」のようなオンライン相談サービスも登場してきました。
AIを活用し、漢方のプロが自分に適した漢方を見極めて、お手頃価格で自宅に郵送してくれる「オンライン個別相談」が可能です。漢方薬での体質改善に興味がある方は、ぜひ活用してみてください。
5 つらいイライラを抑えて、リラックスして過ごそう!
PMS症状のうち「イライラ」は、非常に多くの女性が経験する精神的症状です。そんなつらいイライラを抑えるためには、食事の工夫や軽い運動といった生活習慣の改善が役立ちます。それに加えて、イライラしにくい体質をめざせる漢方薬の活用もおすすめですよ。
悩ましいPMS(イライラ)を改善し、リラックスして毎日を楽しみましょう!
参考文献
(※1)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ抑肝散エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=9191
(※2)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ加味逍遙散エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=8230
<この記事を書いた人>
薬剤師 稲嶺 千春
北陸大学薬学科卒業後、製薬企業や調剤薬局に勤務。
様々な経験をする中で、対症療法ではなく、漢方による根本治療の大切さを実感する。漢方薬の力をより多くの方に広めるために、漢方のプロがAIを活用して自分に適した漢方薬を選び、お手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」で情報発信をしている。