「肌がかゆくてヒリつきも気になる」
「ストレスがたまると、アトピーの症状が悪化しやすい」
「寝ている間にかきむしってしまう」
このような悩みをかかえていませんか?
「かきむしってはいけない」とわかっていても、強いかゆみを我慢するのはなかなか難しいですよね。症状がしばらく落ち着いたと思っても、急に悪化して悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させる原因や、セルフケアの方法について、薬剤師がご紹介します。
1 アトピー性皮膚炎がひどくなる原因とは?
アトピー性皮膚炎がひどくなったり、しばらく落ち着いていた症状が再び出てきたりする原因はなんなのでしょうか? ここでは、アトピー性皮膚炎を悪化させる原因について3つご紹介します。
1-1 乾燥
冬は湿度が低く、肌も乾燥しがちな季節です。もともと乾燥しがちなアトピー肌の方は、肌のバリア機能がより低下してしまう傾向にあり、小さな刺激でもかゆみを感じやすくなってしまうのです。
1-2 ストレス
ストレスは、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させることが知られています。ストレスを感じることで炎症を引き起こす免疫細胞が増え、皮膚のかゆみを引き起こすと考えられているのです。
1-3 就寝中のかきむしり
起きている間は我慢していても、寝ている間に無意識に肌をかきむしっている可能性があります。かきむしることで肌のバリア機能がさらに低下し、よりかゆくなるという悪循環におちいることも。
「長袖の服を着る」「爪をこまめに切る」「寝る前にしっかり保湿する」といった工夫をしましょう。
2 自分でできる、アトピー性皮膚炎の対処法
皮膚の炎症やかゆみが増してきても、仕事や家の都合でなかなかすぐ病院にいけない方も多いですよね。
ここでは、自分でできるアトピー性皮膚炎の対処法を3つご紹介します。我慢できない症状が続く場合は、早めに皮膚科を受診してくださいね。
2-1 かゆい部分を冷やす
かゆみをどうしても我慢できないときには、かゆい部分に凍らせた保冷剤や冷たいタオルなどをあてて冷やしましょう。冷やすことで炎症がおさまり、かゆみが和らぐ場合があります。
2-2 水分を補給してから油分でフタをする
アトピー性皮膚炎の方は皮膚が乾燥しやすいため、肌のバリア機能を補うために保湿することが大切です。保湿する際は、化粧水などで肌内部を潤わせてからワセリンなどの保湿剤でフタをすると、水分の蒸発を防いで潤いを長く保てます。
2-3 熱いシャワーを控える
寒い冬は、熱めのシャワーを浴びたり湯船に浸かったりしている方も多いのではないでしょうか。熱いお湯は、肌への刺激となってかゆみを強めてしまうので、ぬるめのお湯で入浴することを心がけましょう。
3 体質改善には漢方薬もおすすめ!
アトピー性皮膚炎のかゆみや炎症を和らげるためには、保湿や、肌への刺激を避けることに加えて、根本から体質改善できる漢方薬の活用もひとつの方法です。
アトピー性皮膚炎が悪化する原因としては、肌の乾燥や血行不良、ストレス、便秘、紫外線によるダメージなどが考えられます。
アトピー性皮膚炎の症状を改善するためには、
・水分の循環をよくして肌に潤いを与える
・血行をよくして肌に栄養を届け、肌の代謝をよくする
・自律神経を整えてストレスによる肌荒れを軽減する
・便通をよくして老廃物を排出する
・肌の新陳代謝をよくして紫外線によるダメージを回復する
といった働きの漢方薬で根本からの改善を目指します。
また、アトピー性皮膚炎のかゆみには、「炎症を改善する」といった働きをもつ漢方薬で症状を軽減していきます。
漢方薬は自然の生薬の組み合わせで作られており、心とからだのバランスを回復させてアトピー性皮膚炎を和らげます。
ここでは、アトピー性皮膚炎に悩む方に用いられる漢方薬を2種類ご紹介します。
<アトピー性皮膚炎に悩む方におすすめの漢方薬>
・当帰飲子(とうきいんし):栄養分である「血(けつ)」を補うことで、皮膚に栄養と潤いを与えて乾燥に働きかけます。通常、慢性湿疹やかゆみの治療などにも用いられます(※1)。
・黄連解毒湯(おうれんげどくとう):からだにこもった余分な「熱」を冷まして、皮膚の赤みやかゆみの症状を和らげます。比較的体力があり、のぼせぎみでイライラしやすい方におすすめです(※2)。
漢方薬は飲むだけなので手軽ですが、体質に合ったものを服用することが重要です。自己判断での服用は効果が出にくいばかりか、副作用が生じる恐れもあります。
しかし、自然の生薬で構成される漢方薬は本来、副作用が出にくいものですし、体質に合えば大きな効果を期待できます。そのため、服用前にはしっかりと漢方に詳しい医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
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4 アトピー肌を悪化させる原因を知っておこう
かゆいからといってかきむしったり、保湿をおこたったりすると、肌のバリア機能がみるみるうちに低下して症状の悪化を招きます。
「もうひどいかゆみを我慢するのは嫌だ……」という方は、本記事で紹介したセルフケアに加えて、根本的な体質改善を目指せる漢方薬をとりいれるのも選択肢のひとつですよ。
ただ、我慢できない症状が続く場合は無理せず皮膚科を受診してくださいね。
参考文献
(※1)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ当帰飲子エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=8938
(※2)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ黄連解毒湯エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=7938
<この記事を書いた人>
あんしん漢方薬剤師
稲嶺 千春(いなみね ちはる)
北陸大学薬学科卒業後、製薬企業や調剤薬局に勤務。
様々な経験をする中で、対症療法ではなく、漢方による根本治療の大切さを実感する。漢方薬の力をより多くの方に広めるために、漢方のプロがAIを活用して自分に適した漢方薬を選び、お手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」で情報発信をしている。
- あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=212333e3glam0033