「毎日髪を洗っているのに頭がかゆい」
「こまかいフケがたくさん出てくる」
「頭のかゆみを抑える方法を知りたい」
このような悩みをかかえていませんか?
清潔にしているのに、かゆみやフケが出るなんて不思議ですよね。その症状はもしかしたら、脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)という病気によるものかもしれません。
そこで今回は、頭がかゆくなる原因や、頭のかゆみやフケを抑える方法について、薬剤師がご紹介します。
1 脂漏性皮膚炎とは?
脂漏性皮膚炎とは、頭皮や顔などの皮脂分泌が盛んな部分にできる湿疹のことをいいます。皮膚が炎症を起こして赤くなり、強いかゆみを伴います。炎症が頭皮に起こると、フケがたくさん出ることも。
脂漏性皮膚炎は、一度症状が出ると慢性化してよくなったり悪くなったりを繰り返す傾向にあります。自然治癒が難しい病気なので、皮膚科での治療がおすすめです。
2 脂漏性皮膚炎の原因
脂漏性皮膚炎の原因はまだ解明されていませんが、皮膚に存在している「マラセチア」というカビ(真菌)の増殖が関わっていると考えられています。
皮脂を栄養源にするマラセチアが皮脂の成分を分解し、分解することでできた成分が皮膚を刺激するのです。
マラセチアが異常増殖する根本的な原因は不明ですが、遺伝的要因やストレス、生活習慣の乱れなどの要因が関連しているといわれています。
3 かゆみで集中できない! 脂漏性皮膚炎の対処法
猛烈なかゆみが続くと仕事にも集中できませんし、夜眠れない方もいるでしょう。
脂漏性皮膚炎の一番の対処法は、皮膚科で治療を受けることです。しかし、忙しくてなかなかすぐ病院にいけない方もいますよね。ここでは、自分でできる脂漏性皮膚炎の対処法を3つご紹介します。
3-1 シャンプーを変える
脂漏性皮膚炎の症状を和らげるためには、頭皮のかゆみやフケを抑える「グリチルリチン酸」を含むものや、原因菌であるマラセチアに効く「ミコナゾール」といった成分が配合されたシャンプーがおすすめです。
また、洗浄力が強いシャンプーは頭皮への刺激になるので、アミノ酸系シャンプーといった低刺激のものを選びましょう。
3-2 ビタミンB群を多く摂る
ビタミンB群には、マラセチアの栄養になる皮脂を減らす働きがあります。脂肪分の多い食事はなるべく控え、ビタミンB群を多く含む食品(牛乳や卵、レバー、ほうれん草、さつまいも)をしっかり摂るようにしましょう。
3-3 市販薬を使用する
かゆみやフケを抑えるには、市販のステロイド薬(ローションタイプ)を使用するのもひとつの方法です。
ただし、5~6日間使用しても改善がみられない場合は使用を中止し、皮膚科などの医療機関に相談することをおすすめします。
4 脂漏性皮膚炎の対策には漢方薬もおすすめ!
脂漏性皮膚炎によるかゆみやフケを改善するには、低刺激で抗炎症成分が入ったシャンプーを選ぶことや、食生活の工夫などが大切です。また、それらに加えて、根本からの体質改善を目指せる漢方薬を活用するのもひとつの方法です。
脂漏性皮膚炎の症状は、頭皮からの過剰な皮脂分泌やマラセチアの増殖、生活習慣の乱れ、ストレスなどが原因で起きると考えられています。
脂漏性皮膚炎の対策には、
・頭皮の過剰な皮脂分泌を調節する
・血行をよくして肌に栄養を届け、正常な状態に戻す
・肌の新陳代謝をよくして毒素を出す
といった働きをもつ漢方薬を選び、根本改善を目指します。
また、かゆくなってしまった頭皮には、
・頭皮の乾燥から生じるかゆみを改善する
・炎症を抑える
などの働きをもつ漢方薬で症状を軽減していきます。
漢方薬は根本からの改善を得意としているので、脂漏性皮膚炎が生じにくい体質を手に入れることができます。
ここでは、頭皮のかゆみやフケに悩む方に用いられる漢方薬を2種類ご紹介します。
<頭皮のかゆみやフケに悩む方におすすめの漢方薬>
・当帰飲子(とうきいんし):栄養分である「血(けつ)」を補うことで、皮膚に栄養を与えて乾燥に働きかけます。冷え症で皮膚が乾燥する方のかゆみの治療などにも用いられます(※1)。
・温清飲 (うんせいいん):「血」を補って頭皮に栄養を届けるとともに、頭皮にこもった熱を冷ましてかゆみを改善します。また、月経不順や月経痛、更年期障害、神経症の治療にも使用される漢方薬です(※2)。
漢方は、動植物や鉱物などをもとにした生薬を組み合わせて生成します。自然の恵みを利用する漢方は、化学合成した西洋薬とは違い、副作用リスクも低いのが特徴です。
しかし、からだに適した漢方薬を使うなら、医師や薬剤師など、漢方に精通した専門家による診断と処方が大事です。からだに合っていないと、効き目が十分に出ないだけでなく、思わぬ副作用が生じる場合もあります。
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5 頭皮のかゆみやフケから解放されよう
毎日ちゃんと頭を洗っているのに、かゆみやフケが止まらないと心配ですよね。もしかしたら、脂漏性皮膚炎になっているのかもしれません。
セルフケアや市販薬の使用でも症状が治まらない場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。
参考文献
(※1)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ当帰飲子エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=8938
(※2)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ温清飲エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=9176
<この記事を書いた人>
あんしん漢方薬剤師
稲嶺 千春(いなみね ちはる)
北陸大学薬学科卒業後、製薬企業や調剤薬局に勤務。
様々な経験をする中で、対症療法ではなく、漢方による根本治療の大切さを実感する。漢方薬の力をより多くの方に広めるために、漢方のプロがAIを活用して自分に適した漢方薬を選び、お手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」で情報発信をしている。
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