7月21日は、グアムを統治した旧日本軍から解放されたことを記念するグアムの祝日です。この祝日を解放記念日(リバレーションデー)といい、戦没者への追悼やセレモニーが行われるほか、フェスティバルが催され、多くの地元民が集います。
今回、筆者は2023年7月21日のリバレーションデーに参加し、催しの様子を取材してきました。リバレーションデーの詳細について、多くの写真を交えつつ、イベントや筆者の感想などをお伝えします。
目次
グアムの解放記念日(リバレーションデー)とは?
グアムの解放記念日、リバレーションデー(Liberation Day)とはと、毎年7月21日のグアムの祝日です。1944年7月21日に、アメリカが日本軍からグアムを解放した日を記念し、解放記念式典や追悼イベントが行われます。
グアムの解放記念日を知るために、歴史を遡りましょう。1899年~1941年、グアムはアメリカによって統治されていました(第1アメリカ統治時代)。
その最中、1941年12月8日、日本軍はハワイへの真珠湾攻撃と同日に、グアムへの空爆を始めました。その2日後に、日本はグアム占領を宣言します。
1944年、アメリカは日本が占領したグアムを解放するため、グアムを占領している日本軍への攻撃を実行しました。数週間にも及ぶ激しい戦闘の末、同年7月21日に、アメリカは日本軍からグアムを奪還しました。
その後、現在に至るまでアメリカがグアムを統治しているため、グアムはアメリカ領となっているのです。
リバレーションデーでは、ミサ(キリスト教カトリックによって行われる儀式)やパレード、フェスティバルなどが開催されます。1日に渡って、再びグアムがアメリカ統治下に戻り、平和が訪れていることを祝います。
コロナ禍によってしばらく開催されなかったリバレーションデーですが、2022年7月21日、3年ぶりに催されました。翌年の2023年が79周年であり、今年も無事開催されたことは非常に喜ばしいですね。
参考:なぜグアムはアメリカ領なの?歴史や文化、法律について紹介!
【2023年】リバレーションデーのスケジュール
2023年7月21日に、以下のスケジュールでリバレーションデーが実施されました。
時間 | 実施内容 | 場所 |
9:00~ | ミサ | マリア大聖堂 |
11:00~ | メモリアルセレモニー | グアムミュージアムのアウトドアステージ |
14:00~ | ブロックパーティー | チャモロビレッジ |
19:21~ | 花火・ドローンショー |
昨年2022年は、ハガニアの道のりを使ったパレードが開催されていましたが、2023年5月24~25日にかけて襲った台風マーワーを受け、2023年は中止。代わりに、今年はチャモロビレッジでブロックパーティーが開催されることになりました。
このうち、筆者は当日14時からリバレーションデーに参加し、ブロックパーティーや花火・ドローンショーの様子を取材してきました!ミサやメモリアルセレモニーの様子については、グアム政府観光局のサイトで紹介されているので、気になる方は見てみてください。
次から、リバレーションデー当日の様子を紹介します。
(14:00~)ブロックパーティー@チャモロビレッジ
▲リバレーションデーの露店(チャモロビレッジ)
ブロックパーティーではフェスティバルが催されており、数多くのフードトラックが出店し、盛り上がりを見せていました。バーベキュー料理やタコス、フルーツジュースなど、南国らしい料理がたくさん振る舞われています。
どれもおいしそうな料理ばかりで、チャモロビレッジの会場には、食欲をそそる匂いが漂っていました。
▲リバレーションデーでBBQ料理を提供するフードトラック
リバレーションデーは、地元民が多く集まる行事。家族や友達同士でチャモロビレッジに集い、積極的にコミュニケーションが取られています。さすが南国リゾートと言うべきか、開放的で明るい雰囲気を体験できました。
さて、チャモロビレッジのフェスティバルハットエリアから少し外れた所に、グアム政府観光局主催のエリアがあります。そこでは、バンドの生演奏があり、陽気な雰囲気の中で地元民が楽しんでいます。
賑やかな雰囲気の中で、自然とテンションも上がってきました。
(16:00~)日本人チャモロダンサーによるチャモロダンス
16時頃になると、グアム政府観光局主催のもと、ローカルのチャモロダンサーと日本人チャモロダンサーのコラボによる、チャモロダンスが実施されました。チャモロダンスは16時と19時の2回開催されていましたが、筆者は1回目の16時に参加しています。
ところで、そもそもチャモロダンスとは何でしょうか?
チャモロダンスとは、グアム伝統のダンスです。グアムの原住民・チャモロ人が自然と共存し、神に祈りを捧げる様子を踊りや歌で表現するダンスです。
約3,500年前、グアム最初の原住民と言われるチャモロ人は、自然を敬い、また「ブンタンとフウナ」というグアムを造った神を敬う生活を送っていました。
1521年にマゼランのグアム初上陸を経て、1565年にスペインによる統治以降は、チャモロダンスにスペインの文化が取り入れられることになります。
スペイン風の民族衣装やミスティーシャなども生まれ、スペイン統治以前の「アンシェント・チャモロ」と、統治以後の「スパニッシュ」の2つのジャンルがチャモロダンスに存在しています。
さて、話はリバレーションデー当日に戻り、日本人チャモロダンサーとグアムチャモロダンサーによる、軽快なダンスが披露されました。
日本人チャモロダンサーの全身を使って流麗に踊るダンスと、現地民の軽快な歌声によって、会場は南国情緒溢れる雰囲気が広がっています。
観客同士がコミュニケーションを図りつつ、会場一体となって笑顔で楽しむ現地の方を見ていると、グアムの人々の温かさを感じます。
(19:30)花火が打ち上がる
19:30頃になると、同じくチャモロビレッジで花火が打ち上がりました。時間にして10分ほどで、さまざまなデザインの花火がグアムの夜に打ち上がり、チャモロビレッジではますます盛り上がりを見せています。
家族や友達と同じ花火を見上げ、笑顔になる様子は、筆者としてもどこか感動を覚えました。
▲花火を見ながら盛り上がる地元民
さて、花火が終わり、筆者が再びチャモロビレッジを散策してみると、昼・夕方よりもさらに人が集まっていました。フードトラックが出店しているエリアでは人が混雑しており、祭りらしい盛り上がりを見せています。
フードトラックやその他飲食ブースは、夜も行列ができており、活気に満ちあふれています。
▲フルーツジュースを提供しているフードトラック
地元民はお酒を飲みながら、フードトラックの食事を楽しんでいます。ある場所では、軽快な音楽とともに踊る地元民の様子が見られました。
▲地元民が集い、音楽に合わせて陽気に踊る
グアムの方の心の底から楽しんでいる様子を見ていると、筆者も自然と楽しくなってきます。
(20:00)ドローンショーが始まる
20時頃になると、花火に続いてドローンショーが始まりました。ドローンショーでは、プログラムされた複数のドローンが、それぞれ色を放ちながら、船や国旗、紋章、文字などを作り出しています。
多数のドローンが魅せる圧巻のショーに、筆者も感銘を受けました。ドローンショーのデザインが変わる度に、地元民の間でも大いに盛り上がりを見せています。
非常に明るくて心地よい雰囲気の中で、リバレーションデー最後のイベントが無事終了しました。
日本人である筆者は複雑な思いをもちながらも、「多くの犠牲のうえに、グアムの今の暮らしがある」と実感し、恒久的な平和を望むばかりです。
リバレーションデーに観光客も行けるのか?
ここまで読むと、「観光客としてリバレーションデーに参加できるのか?」という疑問が生まれるでしょう。
まず、2023年リバレーションデーに集まっている人のほとんどが、グアム住民もしくはアメリカ本土の方でした(韓国人または中国人の観光客がわずかにいる程度)。
ですが、日本人観光客が参加することはまったく問題ありません!実際に日本人の筆者も、リバレーションデーの中で、地元民とともに祭りの雰囲気を楽しみました。元々、グアムは外国人に寛容な国柄であり、日本人観光客の参加を喜んでくれますよ。
また、今年はタモンやタムニングの主要ホテルからリバレーションデーの会場近くまで、無料の赤いシャトルバスが運行していました。
チャモロビレッジはタモン中心地から車で約15分離れた場所にありますが、赤いシャトルバスが運行しているため、交通手段に困ることもありません。
▲チャモロビレッジ近くに停車している、無料の赤いシャトルバス
2024年以降も、毎年開催される予定です。ぜひ観光客の方もリバレーションデーに参加して、地元らしい雰囲気を味わってみてください。