GLAM Editorial

2023.10.27(Fri)

寝すぎるのはなぜ?疲れや頭痛を引き起こす原因と対処法を薬剤師が解説

「たくさん寝ても疲れがとれない」

「気がついたら12時間も寝ていた!」

 

寝すぎると健康に悪影響を及ぼすことも。

 

寝すぎる原因や、寝すぎることによる悪影響、そして対処法を薬剤師が解説していきます。

 

1. 寝すぎてしまう主な原因とは?

寝すぎてしまうのは、主に以下の5つが原因だといわれています。

1-1. ストレス

過度の不安を抱えている方やうつ病の方は、ストレスによって寝すぎてしまうことがあります。

 

ストレスを受けることで自律神経のバランスが崩れて睡眠の質が下がり、寝すぎにつながる可能性があります。

1-2. 睡眠不足

睡眠不足が続くと疲労がたまり、「睡眠負債」が蓄積しますが、この疲労は寝ることでしか解消できないので、眠れるときに寝すぎてしまいがちです。

 

ただし、寝すぎることで睡眠負債を解消しても、睡眠リズムが乱れてしまうため、また眠れなくなるという悪循環に陥ります。

 

20〜60歳代が心身の健康を維持するために必要な睡眠時間は7〜9時間だといわれていますが、これが不足していると、休日に睡眠不足を解消するために寝すぎてしまうこともあります。

1-3. 疲労

通常、十分な睡眠時間をとることでからだの疲れは回復します。

 

しかし、長く寝ても睡眠負債が解消できないくらい疲れていると、寝すぎることもあるようです。

1-4. 体質・病気

自分と同年代の方よりも長い睡眠時間を必要とする「ロングスリーパー」と呼ばれる体質の方や、「ナルコレプシー」や「特発性過眠症」といった病気の方も、寝すぎてしまう傾向があります。

 

ロングスリーパーの方は普段から睡眠時間を長めに確保することで、日中の眠気を軽減させることができるでしょう。

 

ナルコレプシーや特発性過眠症などの病気が原因で日中に眠気を感じる方は、睡眠外来や神経内科を受診して治療を行うことで症状が軽減されることがあります。

 

そのほか、女性の場合は「PMS(月経前症候群)」や貧血でも睡眠の質が悪くなり、十分な睡眠時間を確保していても眠気がとれなくなることもあるといわれています。

1-5. ホルモンバランスの乱れ

女性のなかには、ホルモンバランスの乱れによって強い眠気を感じる方もいます。

 

たとえば、生理前は体温が上がり睡眠の質が低下するため、日中も眠くなってしまうでしょう。

 

また、妊娠中は「プロゲステロン」というホルモンが分泌され、日中の眠気が強くなるといわれています。

 

閉経後は女性ホルモンの「エストロゲン」の量が急激に減り、自律神経が乱れることで眠りの質が下がって、睡眠不足になる方もいます。

 

2. 寝すぎてしまうときに覚えておきたい注意点は?

寝すぎてしまう方は、主に以下の3点への注意が必要です。

2-1. 片頭痛・緊張型頭痛が起きやすくなる

寝すぎることで「片頭痛」や「緊張型頭痛」が起きやすくなるといわれています。

 

睡眠時間が長くなると血流が緩やかになりますが、その反動で起きたときに勢いよく血液が流れ始めます。

 

この急激な血流量の増加によって血管が強く拍動し、脳の「三叉神経」が引っ張られることで片頭痛が起きるのです。

 

また、寝るときの姿勢が悪いと首や肩の筋肉が緊張し、血流が停滞してしまいます。

 

この筋肉の収縮と緊張によって引き起こされる鈍い頭痛が緊張型頭痛です。

2-2. 倦怠感

同じ姿勢で長く眠ることで筋肉が固くなり、からだがだるくなってしまうこともあります。

 

筋肉の血行不良が生じ、腰や肩、首回りが筋肉痛になることでだるさを感じる方もいるようです。

2-3. 生活リズムが崩れる

寝すぎることで、いわゆる「時差ぼけ」のような症状になってしまい、日中も倦怠感を感じる方もいます。

 

生活リズムが崩れているので夜に眠れず、翌日の日中にまた眠気を感じる悪循環に入ってしまうのです。

 

3. 寝すぎてしまうときのおすすめの対処法は?

「寝ても寝ても眠い」という状況を改善するためには、以下のような対処法がおすすめです。

3-1. ストレスを解消する

過度の不安が原因で睡眠の質が下がっているときには、そのストレスの元を解消することが大切です。

 

ストレスになっている事柄を解決したり、ストレス源から離れたりすることによって、夜にしっかり眠れるようにしましょう。

3-2. 生活習慣を改善する

生活習慣の改善によって睡眠の質を上げ、眠気を解消することもできます。

 

たとえば、寝る3時間くらい前にジョギングなどの軽い有酸素運動をすることは、眠りに効果的だといわれています。

 

また、疲労回復にはバランスのとれた食事も効果的です。白米や小麦に含まれる糖質、肉類に含まれる脂質やタンパク質の三大栄養素と、これらをエネルギーに変えるビタミンB群を意識して摂るようにしましょう。ビタミンB群は赤身の魚やバナナに多く含まれています。

3-3. 病院を受診する

ナルコレプシーや特発性過眠症が原因で睡眠の質が悪い場合は睡眠外来や神経内科、ストレスが原因で眠れない場合は心療内科の受診もおすすめです。

 

女性で、生理前や妊娠が原因で睡眠の質が下がっている場合は、婦人科に相談することで改善することもあるでしょう。

3-4. 漢方薬の服用

体質の改善を目指す漢方薬の服用で、「眠いのに眠れない」や「寝たはずなのに眠い」という状況にアプローチすることもできます。

 

過眠、あるいは不眠で悩む場合には、以下のような漢方薬の服用がおすすめです。

・いらだちや興奮を鎮める

・自律神経のバランスを整える

・血流をよくして中枢神経の機能を回復する

・消化・吸収機能を改善して全身に栄養を届け、心とからだを元気にする

 

<寝すぎなど睡眠で悩んでいる方におすすめの漢方薬はこちら>

・酸棗仁湯(さんそうにんとう):寝ても疲れがとれない方におすすめです。ストレスや過労による神経の興奮や緊張を和らげて、疲れすぎて眠れないなどの不眠を改善します。(※1)

・加味帰脾湯(かみきひとう):虚弱体質で、顔色が悪い方におすすめです。精神を安定させ、不眠にも働きかけます。(※2)

 

漢方薬によって体質の改善ができ、寝るべきときに眠れるようになれば、生活リズムも整って心身ともに安定していくでしょう。

 

ただし、漢方薬を服用する際には、自分の症状・体質・寝すぎる原因に適した漢方薬を服用する必要があります。

 

最近では「あんしん漢方」などのオンラインサービスで、専門家の指導を受けて自分に合う漢方薬を提案してもらうこともできるので、検討してください。

 

あんしん漢方

 

4. 睡眠の質を整えて「寝すぎ」を改善しましょう!

ストレスやホルモンバランスの乱れ、自律神経の乱れによって睡眠の質が下がってしまうと、どんなに寝ても眠気がとれずに寝すぎてしまう状態になる方が多いようです。

 

自分の過眠の原因を見極め、それに合った対策をしていきましょう。

 

 

 

参考URL:

(※1)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ酸棗仁湯エキス顆粒(医療用)」

https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=9077

(※2)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ加味帰脾湯エキス顆粒(医療用)」

https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=9150

 

 

 

<この記事を書いた人>

 

漢方

あんしん漢方薬剤師 山形 ゆかり 薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。
病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方)

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