「冬になると、毎年憂鬱な気持ちになってしまう」
「毎年、冬はやる気が出ない季節!」
このように、冬になると自分でも制御できない嫌な気持ちを抱く方もいます。
今回は、冬に憂鬱になる原因や対処法を薬剤師が紹介していきます。
1. 冬季うつとは
冬に気分が落ち込む原因は「冬季うつ」といわれることもあります。
では、冬季うつとはどういったものなのでしょうか。
1-1. 冬季うつの定義
冬季うつとは「季節性感情障害」や「季節性うつ病」ともいわれ、秋から冬にかけて仕事や家事に意欲が湧かず、人に会いたくなくなるなどの症状が出る病気です。
男性よりも女性に多く、緯度が高くて日照時間の短い地域ほど冬季うつの発症率は高いといわれています。
春先になると自然に回復していきますが、一度発症すると毎年繰り返すことが多いため、心当たりがある方は冬季うつの原因や対処法を理解しておくといいでしょう。
1-2. 冬季うつと一般的なうつの違いは?
通常のうつ病では、発症すると不眠や食欲の低下といった症状があらわれることが多いですが、冬季うつは過眠や過食といった症状が出る方が多いといわれています。
このような過眠や過食の症状が出るのは「熊のように冬眠をする本能」や「冬になると栄養が摂れないから、エネルギー消費を落とすために過眠になり、食べられるときに過食になる」などが原因だといわれていますが、はっきりとした原因はまだ解明されていません。
2. 冬季うつになってしまう原因は?
冬季うつは、以下の2つが主な原因で発症するといわれています。
2-1. 日照時間が短くなる
先述した通り、日照時間が短い地域で冬季うつを発症する方が多いことから、太陽にあたる時間が短くなることが冬季うつの一因だといわれています。
通常、太陽の光を浴びることで必須アミノ酸のひとつである「トリプトファン」から、神経ホルモンの一種である「メラトニン」が生成されます。
日照時間が短くなることでメラトニンの分泌が減ると、生活リズムが乱れてしまい過眠の症状が出ることがあるようです。
生活リズムが乱れると精神を安定させる働きを持つ「セロトニン」の分泌も減り、一般的なうつのような状態になる方もいます。
2-2. 生活リズムが崩れる
年末年始は仕事が忙しくなり、出社時間が早まったり残業をしたり、休日出勤などで生活リズムが崩れ、それが原因でイライラや過食といった冬季うつの症状が出ることもあります。
その他にも、生活リズムが崩れることで運動ができなくなりストレスをためる方もいれば、睡眠時間が短くなることで調子を崩してしまう方もいるようです。
3. 冬季うつを自覚したら?対処法を紹介!
自分自身が冬季うつかもしれないと思ったときの対処法を3つ紹介していきます。
3-1. 太陽の光を浴びる
冬季うつの症状が出てきたら、メラトニンを分泌させるためにも太陽の光を浴びるようにしましょう。
晴れた日には外に出て軽く運動をすることも、気分転換ができて効果的だといわれています。
3-2. 食生活を見直す
生活リズムを整えるためには、食生活を見直すことも大切です。
睡眠リズムを整えてくれるメラトニンはセロトニンから作られますが、そのセロトニンの元になるのはトリプトファンです。
トリプトファンはバナナや豆乳、チーズに多く含まれるので意識的に摂取するようにしましょう。
3-3. 漢方薬を服用する
冬季うつの症状を改善するためには、漢方薬の服用も効果的だといわれています。
たとえば、疲れている場合は、「消化・吸収の機能を改善する」漢方薬を服用することで疲労の軽減にアプローチすることができます。
さらに、「血流を促して中枢神経の機能を回復する」「自律神経を整えて、睡眠の質を高める」といった漢方薬を服用することで、過眠の改善が期待できます。
また、イライラして食べ過ぎてしまう方には、「自律神経を整えてストレス過食を防ぐ」働きのある漢方薬がおすすめです。
<からだが疲れている方におすすめの漢方薬>
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう):胃腸の働きが衰えて疲れやすい方におすすめです。胃腸の働きを高めて気力を充実させることで、疲れを改善します。(※1)
<過眠の方におすすめの漢方薬>
・酸棗仁湯(さんそうにんとう):心身が疲れている方におすすめです。ストレスや過労による心身の疲れを和らげ、不眠を改善します。(※2)
・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):比較的体力があり、ストレスを感じることが多くてイライラしがちな方におすすめです。心を落ち着かせることで不眠を改善します。(※3)
<イライラして食べ過ぎてしまう方におすすめの漢方薬>
・大柴胡湯(だいさいことう):ストレスによる過食や、便秘の方におすすめです。気持ちを落ち着けることでストレスによる過食に働きかけます。(※4)
このように、冬季うつには漢方薬の服用による効果が期待できます。
一方で、効果を実感するためには自分自身の症状や体質、冬季うつの原因を正確に把握する必要があるため、難しいと感じる方もいますよね。
そこで、薬剤師がAIを用いて最適な漢方薬を提案してくれる「あんしん漢方」のサービスの利用がおすすめです。
専門家の指導のもと、自分に合った漢方薬を服用できますよ。
4. 冬の憂鬱さを吹き飛ばそう!
冬季うつは、周りの人から「怠け」といわれてしまうこともあり、悩んでいる方も多い疾患だといわれています。
忙しくなりがちな時期ですが、生活習慣の改善や漢方薬の服用など、自分に合った方法で冬季うつを乗り越えてくださいね。
参考URL
(※1)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ補中益気湯エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=8542
(※2)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ酸棗仁湯エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=9077
(※3)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ柴胡加竜骨牡蛎湯エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=7943
(※4)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ大柴胡湯エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=7877
<この記事を書いた人>
あんしん漢方薬剤師 山形 ゆかり 薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。 「健康は食から」をモットーに健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-Youtubeチャンネルで簡単薬膳レシピ動画を公開するなど精力的に活動している。 症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方)