冬になると、夏よりもつらい生理痛に苦しむ方もいます。
なぜ寒くなると生理痛が重くなるのでしょうか。
生理痛が重くなる原因と対策を解説します。
1. 生理痛がいつもより重い原因とは?
生理痛が重くなる主な原因を3つ紹介します。
1-1. 血行不良
血行不良によって生理痛が重くなることがあります。
生理中は基礎体温が下がり、血液に粘りが出て血行が悪くなります。
この粘り気のある血液が体外に出るため、血行不良の際には生理痛がいつもより重くなるのです。
さらに、寒さでからだが冷えて体温が下がると、毛細血管が収縮して血流が悪くなり、血が固まりやすくなります。
そのため、冷え症の方は生理痛が重い傾向にあるようです。
1-2. 病気
病気によって生理痛が重くなることもあります。
たとえば、10代~20代前半の女性の場合、子宮口が狭いため生理痛が重くなることがあるようです。
これは「機能性月経困難症」という病気が理由で、明らかな疾患がないのに日常生活に支障をきたすレベルの生理痛を感じる方が該当します。
他にも、20代後半以降の女性の場合は「器質性月経困難症」といって、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症といった病気が原因で生理痛が重くなることがあります。
この病気は、年齢が上がるにつれてかかる可能性が高くなり、重い生理痛だけではなく、経血の量が多い過多月経や性交痛、排便痛を感じることもあるようです。
1-3. 食事の影響
食事の影響で生理痛が重くなる方もいます。
チョコレートやコーヒー、チーズに多く含まれる「チラミン」という成分には、血管や子宮を収縮させる作用があります。
そのため、生理の前に食べることで生理痛が重くなるでしょう。
その他にも、からだを冷やすアイスクリームも生理痛を重くする一因となります。
2. 生理痛を和らげる方法は?
つらい生理痛は、どのように対処すればいいのでしょうか。
2-1. からだを温める
生理痛を軽減するためには、からだを温めて血流をよくしましょう。
とくに、子宮を温めることが効果的なので、へそや腰を温めるのがおすすめです。
腹巻きやレッグウォーマーを使い、下半身を冷やさないようにしましょう。
また、筋肉をつけると血流がよくなるため、普段からスクワットやジョギングといった運動をするのもいいでしょう。
2-2. 婦人科の受診
日常生活に支障をきたすほど生理痛が重い場合や、経血量が多くレバーのような塊が出る場合には婦人科を受診しましょう。
月経困難症の場合、低用量ピルや鎮痛剤による治療が一般的です。
低用量ピルは、女性ホルモンの「エストロゲン」と「プロゲステロン」を配合した薬で、排卵を抑制します。
これにより、子宮内膜の増殖を防いで経血量を減らしたり、生理痛を和らげたりできるでしょう。
ただし、低用量ピルは血液を固まりやすくする副作用があるため、血栓リスクの高まる40歳以降は使えません。
40代からは、プロゲステロンだけが配合されたプロゲスチン製剤が処方されます。
低用量ピルによって生理痛を軽減する場合、婦人科で定期的に受診や血液検査を行ってくださいね。
2-3. 食生活の改善
生理中は、からだを温めるものを意識して摂りましょう。
たとえば、生姜に含まれる「ジンゲロール」は、血流を促進し冷えを解消する効果を持ちます。
また、ココアには血管を拡張する効果を持つ「ポリフェノール」が含まれるため、血行を促進し、からだの冷えを改善します。
鉄分も含まれるため、貧血予防もできるでしょう。
このように、からだを温める食べ物を意識的に摂ることで、生理痛が和らぐことがあります。
3. 重い生理痛には漢方薬の服用もおすすめ
生理痛が重い場合は、漢方薬の服用によって根本改善を目指すことも選択肢のひとつです。
漢方薬のなかには「月経痛」に効果が認められており、婦人科などで処方されているものもあります。
漢方薬は「血行をよくして子宮や卵巣の機能を回復する」「女性ホルモンのバランスを整える」といった働きのあるものを選びましょう。
<重い生理痛におすすめの漢方薬>
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):血流をよくしてからだを温めるとともに、女性ホルモンのバランスを整え、月経に伴う症状を改善します。(※1)
・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):滞った血液の流れを改善し、女性ホルモンの乱れによる生理の痛みを和らげます。(※2)
漢方薬を服用して体質の改善を目指すことで、毎月の生理痛の重さが楽になることもあるでしょう。
ただし、漢方薬は、自分の体質や生理痛の重さの原因に合ったものを選ばなければなりません。
そこで、薬剤師がAIを用いて最適な漢方薬を提案する「あんしん漢方」がおすすめです。
スマホだけでサービスが利用できるので、生理痛が重くて外出したくないときにも便利ですよ。
4. 生理痛は我慢せずに対処しよう!
生理痛は、からだを温めたり食生活を意識したりすることで楽になることもあります。
自分の生活習慣を見直し、少しでも生理期間の憂鬱さを解消していきましょう。
参考URL
(※1)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ当帰芍薬散エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=8228
(※2)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ桂枝茯苓丸エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=8232
<この記事を書いた人>
あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり
薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。
「健康は食から」をモットーに健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-Youtubeチャンネルで簡単薬膳レシピ動画を公開するなど精力的に活動している。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
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