春はからだがむくんで、頭痛や冷えといった体調不良や、体重の増加といった変化が起きやすい季節です。
春にからだがむくむ原因や、むくみが原因の不調、むくみへの効果的な対策をチェックしましょう。
1. 春にからだがむくむ原因は?
むくみとは、血管の外側に余分な水分がたまった状態を意味します。
からだがむくむ主な原因を5つ紹介します。
1-1. むくみの原因1:低気圧
気圧が下がると血液や体液の循環が悪くなり、むくみの原因となります。
さらに、血液中の水分が血管の外に押し出されることも、気圧が低い日にむくむ一因だといえるでしょう。
手足だけではなく顔もむくむため、低気圧だと化粧のりが悪くなる方もいます。
1-2. むくみの原因2:筋力の低下
筋力の低下によって、脚がむくむこともあるでしょう。
脚の筋肉は二酸化炭素や老廃物といった不要なものを、静脈を通して心臓に送る役割を担っています。
そのなかでも下半身の静脈の血液は、重力に逆らって下から上へと流れる必要があるため、脚の筋肉によるポンプ作用が重要な役割を果たします。
そのため、元から筋肉量が少なかったり、運動量の減少や加齢によって筋肉量が落ちたりすると、ポンプとしての機能が落ちるのです。
これにより血行が悪くなり、余分な水分が血液中やリンパ管から細胞と細胞の間にたまり、脚がむくむ原因となります。
とくに春は、冬の間の運動不足が原因で筋肉量が落ちる方が多いので、むくみに注意したい季節です。
また、筋力の低下に限らず、デスクワークのように長時間同じ姿勢をとることで、脚がむくむケースもあります。
1-3. むくみの原因3:寒暖差
気温の寒暖差が激しい春は、自律神経のバランスが崩れて血行不良になることも。
そのため、通常通りに老廃物を排出できなくなってしまい、からだがむくむこともあります。
1-4. むくみの原因4:食生活
春に限らず、食生活がからだのむくみの原因になることがあります。
とくに、春は歓送迎会が多く、アルコールや塩分の摂取量が増える方も多いでしょう。
アルコールを摂りすぎると、血液中のアルコール濃度が高くなって血管が拡張し、水分の処理が間に合わずにむくむ原因になります。
塩分の摂りすぎも、からだが体内の塩分濃度を薄めようとして水分をためこみ、むくむ原因になるため注意が必要です。
1-5. むくみの原因5:病気
こちらも食生活同様に春だけの原因ではありませんが、病気によってからだがむくむこともあります。
心不全や肝不全、腎疾患といった疾患が原因の可能性が高いので、早期に循環器内科を受診しましょう。
万が一、胸痛や呼吸困難がある場合は、救急外来を受診してくださいね。
2. 春のむくみによるからだの不調は?
からだがむくむと、以下のような不調があらわれることがあります。
2-1. むくみによる不調1:頭痛
血行不良によって血管が圧迫されると、肩こりから頭が痛くなることがあります。
頭痛の他にも、肩こりが原因でめまいや吐き気、集中の低下といった症状が起き、日常生活に支障をきたしてしまうこともあるでしょう。
2-2. むくみによる不調2:冷え
体内に余分な水分がたまってむくむと、血管が圧縮されて血行が悪くなります。
それにより、さらに余分な水分がからだにたまり、むくんでしまうでしょう。
さらに、血行が悪いと手足が冷えてしまうこともあります。
2-3. むくみによる不調3:体重増加
むくむことで、一時的に体重が増加することもあります。
体内の水分量が増えるため、排出されるまで体重が重くなるのです。
排出されれば元の体重に戻りますが、尿量が少ない場合は注意が必要です。
腎臓の機能が低下している恐れがあるので、内科あるいは腎臓内科を受診しましょう。
3. 春のむくみにおすすめの対策は?
むくみに対しては、以下のような対策がおすすめです。
3-1. 対策1:顔や脚のマッサージ
長時間同じ姿勢をとったことによって生じるむくみは、マッサージによって血液や老廃物を流すことで解消されます。
むくみが解消されれば、倦怠感も解消されるでしょう。
以下の方法でマッサージを行い、むくみを解消しましょう。
〇ふくらはぎのマッサージ
(1) 座ったままでつま先立ちをする
(2) かかとを床につけた状態で、つま先を床から離して上にあげる
この動きを交互に10~20回繰り返すことで、ふくらはぎの筋肉が刺激されて静脈血の血流がよくなります。
脚全体がむくんでいるときに試してみてください。
〇顔のマッサージ
(1) 小指を小鼻の脇に当てて頬を手で包み、ゆっくり圧を加えるように押さえる
(2) 頬を指全体で持ち上げるように大きく円を描き、中指・薬指で、口角を引き上げる
(3) 額に指全体で圧をかけながら、引き上げるように大きく円を描く
(4) 中指・薬指で目の周りに円を描き、最後にこめかみをやさしくプッシュ
上記の流れを数回繰り返すと、顔のむくみが解消するでしょう。
どの動きでも、顔の中心から外側へ向かって指を動かすことを意識してくださいね。
3-2. 対策2:生活習慣の改善
むくみに対して根本から対策するのであれば、生活習慣の改善が必要です。
マッサージによるむくみの解消はあくまで一時的なものなので、日々の生活でむくまないように意識しましょう。
むくみの主な原因は血行不良であることが多いので、適度な運動によって筋肉量を増やすことで対策が可能です。
また、汗を流すと代謝が活発になり、水分代謝も整うでしょう。
普段から食事の栄養バランスを意識することで、むくみづらいからだ作りも可能です。
余分なナトリウムを尿として排出してむくみを予防するためにも、カリウムを含む食材を意識的に摂りましょう。
カリウムは、昆布やひじきといった海藻類、ほうれん草やにんじんに多く含まれますよ。
3-3. 対策3:漢方薬の服用
マッサージによる一時的な対処ではなく、むくみの根本原因を解消するためには適度な運動やバランスのいい食生活が必須です。
とはいえ、忙しい日々を過ごしていると、なかなか定期的な運動や栄養バランスを考えた食事は難しいですよね。
そのような方は、漢方薬を服用することでむくみ対策をしましょう。
漢方薬なら、飲むだけなので手軽にむくみ対策ができますよ。
むくみ対策には「胃腸機能を整えて、体内の水分バランスを整える」「水分代謝を促し余分な水分や老廃物を排出する」漢方薬の服用が効果的です。
漢方薬は根本からの改善を得意としているので、むくみを解消するだけでなく、むくみにくい体質へと導いてくれます。
<むくみ対策におすすめの漢方薬>
・五苓散(ごれいさん):水分代謝を促し、全身の水分バランスを整える漢方薬です。むくみや吐き気、めまいや頭痛などに幅広く用いられます。(※1)
・防已黄耆湯(ぼういおうぎとう):からだの水分代謝を促し、余分な水分を排出する漢方薬です。水太り、関節痛などにも用いられます。(※2)
・苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう):からだの水分代謝を促し、余分な水分を排出する漢方薬です。たちくらみやめまいにも用いられます。(※3)
このような漢方薬の服用によって、季節の変わり目や運動不足、飲み会続きによるむくみの対策ができるでしょう。
ただし、漢方薬を服用する際には、自分の体質やむくみの原因に合ったものを飲まないと、効果が出ないだけではなく副作用に悩まされることもあります。
そこでおすすめなのが「あんしん漢方」のサービスです。
薬剤師がAIを用いて最適な漢方薬を提案してくれるので、漢方薬に関する知識がない方でも安心して服用できますよ。
4. むくみは根本から対策しましょう!
春に多いむくみは、疲労感や頭痛、体重の増加といった様々な不調を引き起こします。
マッサージによる一時的な対策も可能ですが、むくまないためには根本からの改善が重要となるでしょう。
食生活の改善や漢方薬の服用によって、むくまないからだを目指してくださいね。
参考URL
(※1)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ五苓散エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=7941
(※2)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ防已黄耆湯エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=7951
(※3)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ苓桂朮甘湯エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=8392
<この記事を書いた人>
あんしん漢方薬剤師 山形 ゆかり 薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。
「健康は食から」をモットーに健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-Youtubeチャンネルで簡単薬膳レシピ動画を公開するなど精力的に活動している。 症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。