この時期になると、インフルエンザ予防のためにワクチン接種をする方も多いでしょう。しかし、ワクチン接種だけでは予防が万全とはいえません。ワクチン接種以外に覚えておきたいインフルエンザ予防のコツを、薬剤師が紹介します。
1. 感染症にかかる原因
まずは、感染症に関する基礎知識を紹介します。1-1. 感染症とは
感染症とは、ウイルスや細菌などの病原体が口や鼻、傷口から体内に入り、からだの中で増える病気です。のどや肺、胃腸で病原体が増えることで、熱や咳、下痢や嘔吐などの症状があらわれます。 インフルエンザの他、新型コロナウイルス、結核、中耳炎、食中毒、ノロウイルス胃腸炎などが感染症に該当します。1-2. 接触感染
接触感染とは、感染症の感染者と直接接触した際に感染する方法です。食べ物のシェアやキス、あるいは汚染されたドアノブや物などに触ることで感染します。食べ物のシェアを控えたり、不特定多数の人が触るドアノブや電車のつり革に触った後に消毒液で手指消毒をしたりすることで予防効果が期待できます。1-3. 飛沫感染
飛沫感染とは、感染者の咳やくしゃみに含まれる飛沫を吸い込んだり、飛沫が健康な人の目や鼻に付着したりすることが原因となる感染経路です。感染者はもちろん、健康な人もマスクを付けること、人との間隔をできるだけ空けて換気をしっかり行うことで予防効果が期待できます。2. インフルエンザ予防のコツ
インフルエンザ予防のためには、外出時にできる予防法と帰宅時にできる予防法があります。それぞれ確認しましょう。2-1. 外出時にできるインフルエンザ予防
インフルエンザが流行しているときは、なるべく人ごみや繁華街への外出を控えてください。やむを得ず外出する場合には、マスクを付けるのがおすすめ。マスクは以下の方法で正しく付けてくださいね。
(1) 鼻と口の両方をしっかり覆う
(2) ゴムひもを耳にかける
(3) 隙間ができていないかチェックする
外出時は、ウイルスや細菌が付着したドアノブや手すりに触れている可能性があります。手洗いや消毒液によって、自分の手指に病原体が付着するのを防ぎましょう。
2-2. 帰宅時にできるインフルエンザ予防
帰宅後は、以下の方法で正しく手洗いをしてインフルエンザ予防をしましょう。
(1) 流水で手を濡らした後、石鹸を付けて手のひらをしっかりこする
(2) 手の甲を伸ばすようにこする
(3) 指先、爪の間をこすり、指の間を洗う
(4) 親指と手のひらを洗った後、手首を洗う
(5) 洗い終わった後は十分に水で流し、清潔なタオルやペーパータオルで拭き取って乾かす
帰宅時にうがいをすることも大切です。うがいは、口の中だけではなくのどの奥まで十分に洗い流しましょう。また、市販のうがい液を使うことで、インフルエンザの予防効果が高まります。
3. 日常的にできるインフルエンザ予防法
外出時や帰宅時といった特別なタイミングではなくても、日常生活のなかでインフルエンザ予防をすることも大切です。こうした対策をすることで、インフルエンザ以外の感染症にもかかりにくくなりますよ。日常でできるインフルエンザの予防法も4つ紹介します。3-1. 免疫力の強化
インフルエンザ予防では普段から免疫力を高めることが大切です。免疫力を高めておくことで、病原体がからだの中に入っても発症しないことがあります。また、仮に感染したとしても重症化しない可能性も高いでしょう。 免疫力を高めるためには、腸内環境を整えることが大切です。ヨーグルトやチーズなどの乳製品や、発酵食品、海藻類を食べて腸内環境を整えましょう。その他にも、適度な運動や休養をとることも免疫力を高めるために必要なことですよ。3-2. 温度・湿度管理
空気が乾燥すると、のどや鼻の粘膜が持つ防御機能が低下し感染症にかかりやすくなります。適切な温度や湿度を保ちましょう。 インフルエンザの予防には、温度は20~25度、湿度は50~60%に保つのが好ましいとされています。温度計や湿度計、暖房器具や加湿器を使用して温度や湿度の管理をしてくださいね。3-3. 流行前のワクチン接種
流行前にインフルエンザワクチンを接種することで、発症の可能性を減らすことができます。さらに、ワクチンを摂取しておくことで発症した場合も重症化を防ぐ効果が期待できます。 インフルエンザは例年12~3月に流行するため、12月中旬までには接種を終わらせるようにしてください。かかりつけ医で予約をとるのがおすすめですよ。ただし、アレルギーや体質によってワクチン接種ができない人もいるので、医師に相談してくださいね。3-4. 漢方薬の服用
免疫力を高めてインフルエンザに負けないからだを作るためには、漢方薬の服用もおすすめです。漢方薬は、免疫力の低下の改善や自律神経の乱れを整えることを得意としています。飲むだけなので、忙しい人でも始めやすいですよ。
<感染症対策におすすめの漢方薬>
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう):消化吸収などの内臓機能の働きを高めることで、疲労を回復し気力を充実させます。食欲不振、疲労倦怠の他、病後や術後の衰弱にも用いられます。(※1)
ただし、漢方薬を飲む際には普段飲んでいる薬との飲み合わせや、自分の体質に合うものを考えて選ばないと、思わぬ副作用が発生するリスクがあります。 そこで、おすすめなのが「あんしん漢方」のサービス。薬剤師が最新のAIを用いて最適な漢方薬を提案してくれるので、誰でも安心して服用できますよ。
あんしん漢方
4. インフルエンザに負けないからだ作りを!
年末年始にインフルエンザにかかると、仕事や家事に支障をきたしたり、楽しいイベントを諦める羽目になったりすることも。普段から免疫力を高めたりマスクを着用したりして、インフルエンザにかからないように過ごしてくださいね。
(※1)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ補中益気湯エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=8542
<この記事の監修者>
あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり
薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストランなど15社以上のメニュー開発にも携わる。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方)