
あの日から、娘とは他人のように生きてきた
娘と最後に会ったのは、10年前。
あの頃、私たちは何を話してもぶつかるばかりで、ついには「もう顔も見たくない」と言われ、家を出て行かれました。
育て方を間違えたのか、それとも私の価値観を押しつけすぎたのか。
何がきっかけだったかさえ、もうはっきり思い出せません。
ただ、あのとき娘の目にはっきりと「拒絶」が映っていたことだけは、今も忘れられません。
突然届いた“娘の名前”からのメッセージ
10年という歳月は、気持ちを少しずつ諦めに変えていきました。
「きっとこのまま会うことはないんだろう」と思っていたある日、スマホに通知が届きました。
見慣れた名前。娘からのLINEでした。
「お母さん、元気ですか?突然でごめんなさい。結婚することになりました。よかったら、式に来てほしいです。」
その一文を読んだ瞬間、心臓がドクンと高鳴りました。
怒りも、喜びも、戸惑いも、すべてが一気に押し寄せてきて、涙が止まりませんでした。
「今さら?」という気持ちと、「会いたい」という思い
正直、最初に浮かんだ感情は“怒り”でした。
10年間、誕生日も、正月も、一切の連絡なし。
私がどんな思いで過ごしてきたかも知らずに、「結婚式に来てほしい」なんて、あまりにも勝手すぎる。
けれど、読み返すうちに、心の奥に眠っていた“母としての気持ち”がじわじわと顔を出しました。
娘の晴れの日。
私の知らない10年を過ごして、きっと悩んだ末に連絡をくれたんだろうと考えると、「会いたい」「祝ってあげたい」と思う自分も確かにいるのです。
私はどうすべきか?
10年の空白を、一日の式で埋めることはできないかもしれません。
それでも、娘が“母にいてほしい”と願ってくれたことを、私は受け止めたい気持ちもあります。
ただ、再会したことで、また同じように傷つくことになるのではという怖さもあります。
私は、彼女の母として、どんな顔で式に出ればいいのでしょうか。
娘に届くか分からないけど
今、私は返信を書くかどうか、何度もスマホを開いては閉じています。
10年前には言えなかった「ごめんね」も、「会いたい」も、喉の奥に詰まったままです。
もし、あなたが私の立場だったら、どうしますか?
この複雑な気持ちを、誰かに聞いてほしくて──今、私はこうして言葉にしています。