GLAM Editorial

2025.03.28(Fri)

インドネシアに古くから伝わる美と健康の秘訣!“ジャムゥ”って何? (前編)

 

バリ島からスラマッ シアン(こんにちは)。 今回はインドネシアの女性たちに欠かせない、古くから伝わる漢方「ジャムゥ(JAMU)」についてお話ししたいと思います。ジャムゥとは、ハーブやスパイスなど植物由来の自然素材を原料に作られるインドネシア伝統の生薬のことです。インドネシアの人々にとってはとても身近な健康飲料ですが、2023年にはユネスコの無形文化遺産に登録されるなど世界でも高い評価を受けています。

ジャムゥの歴史

ジャムゥの起源は、ボロブドゥール遺跡の壁画にジャムゥが作られる様子が彫られていることから8世紀には存在していたと云われています。千年以上も前から今も受け継がれているジャムゥは、オランダ植民地時代には治療薬としても使われていました。

 

約200年ほど前に外国人研究者によって書かれたジャムゥについての文献によりますと、ジャムゥには、発熱、悪寒、咳、目などの神経障害など、さまざまな病気に期待できると記載されているそうです。実際、インドネシアで最も有名で伝説的な漢方医であるニョニャ メニール女史も、ジャムゥに関わる最初のきっかけは腹痛に苦しむ夫に代々家に伝わる漢方薬のレシピで治療して治したことだったそうです。

 

近代医薬品の普及があるにも関わらず、多少の浮き沈みはあったもののなぜこれほど長くジャムゥ文化が継承されてきたのでしょうか?その要因のひとつにジャムゥの原料があります。インドネシアはジャムゥの材料となる薬用植物の宝庫。

 

その種類は3千種近くに及ぶそう。そしてジャムゥの原料として有名なウコンや生姜、タマリンドなどはインドネシア料理にも日常的に使われる、ごく身近な材料で安価です。今日では、ジャムゥがもたらす美容がより着目されていますが、美しさの極意はジャムゥを飲むことによって得られる健康ということでしょう。

 

ジャムゥの象徴“ジャムゥ ゲンドン”と現代のジャムゥセールス

 

私がバリ島に住み始めた頃にはまだ見かけていた「ジャムゥ ゲンドン(Jamu Gendong)」。ゲンドンとは「おんぶする」という意味のインドネシア語で、ジャムゥのボトルを何本もカゴに入れて背負い、行商するジャムゥ売り(主に女性)のことを指します。

 

液体のジャムゥはずっしりと重く、担いで長い時間売って歩くのはかなりの重労働ですが、そんな彼女らがいつも元気でいられるのは、毎日ジャムゥを飲んで健康を維持しているからだと言われています。そんなジャムゥ ゲンドンですが、今日ではもうその姿をほとんど見ることがなくなりました。しかしながら ジャムゥが廃れたワケではなく、パサール(地元の市場)のカキリマ(屋台)で売られていたりします。

 

 

私の家の近くのパサールにもジャムゥのスタンドがあり、5〜6種類ほどあるジャムゥをボトルで購入する女性が地味ながら後を絶ちません。そして安い!小さいペットボトル600mlサイズで6,000ルピア(約60円)でした。

 

そして他のジャムゥとのミックスも可能!私はクニットアサムにシリー(キンマ)の葉のジャムゥをミックス。シリーの葉には体臭や口臭を和らげる効果があります(別に私が匂うというワケではありませんよ)。購入前にはお願いしていないのに試飲もさせてくれました。

 

さらに今の時代には欠かせないインスタやTikTokを駆使してジャムゥの写真をアップし注文を受けてから送るという方法も登場しています。ジャムゥは今の若い世代にはどうなのかな?と思いましたが、余計な心配で年齢に関係なく飲まれるようです。そして画像がおしゃれ!ジャムゥがおしゃれな飲み物に生まれ変わっています。素敵なギフトに変身!

 

IG : jamu.okidiより

 

また、時代が進むにつれて、ジャムゥのカタチも変化を続け、錠剤やインスタント粉末などいつでもどこでも手軽に飲めるタイプも普及してきました。

 

私がときどき買って飲むのがこちら。スーパーマーケットでも購入できる、水で溶かすだけの簡単ジャムゥです。シドムンチュール社のクニットアサムは、クニット独特のクセがちゃんとありながらも甘くて飲みやすいのです。

 

インスタントと言って侮ることなかれ!お酒が好きな友人は「今日は飲むぞ!」という日には、このクニットアサムを飲んでから出かけます。そうすると二日酔いにならないのだとか(ただし、こちらが効いているという証拠はありません)。スタンドで買うのはハードルが高い、でもちょっとだけどんなものか試してみたいという方には簡単に購入して飲めるのでおすすめです。

 

 

さて、後編では、ジャムゥを実際に作ってみたり、人気のジャムゥや気になる体へのサポートをお伝えしたいと思います。

お楽しみに。

 

 

執筆者

岡田美和

バリ島に住んで26年。バリ島発行のHISフリーペーパー「バリフリーク」編集部員を11年勤めた後、2011年に独立しデザイン会社「MIMO Creation」を立ち上げる。バリ島旅行関係の記事、情報など発信し、旅行社のガイドブック作成なども手がけている。

https://www.glam.jp/authors/miwa_okada/

バリ島に住んで26年。バリ島発行のHISフリーペーパー「バリフリーク」編集部員を11年勤めた後、2011年に独立しデザイン会社「MIMO Creation」を立ち上げる。バリ島旅行関係の記事、情報など発信し、旅行社のガイドブック作成なども手がけている。

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