前回「青の街」として紹介したシャウエンだが、少し観点を変えるだけで実はもう一つ隠れた楽しみを見つけることができる。
多くの観光客はシャウエンの青のみに注目することがほとんどであるし、ここへ来る目的はあくまで見事に統一された青の世界に浸ることだ。しかし、街をよく観察してみて欲しい。すると青で統一された中にも実は豊かな色彩が息づいているということに気付くだろう。それも主役である青に全ての色がよく映えている。
シャウエンの土産物屋のディスプレイは、素朴なようで凝っている。青色の壁が良い具合にキャンバスの役割をしているのだ。
木陰で休むおじさんの衣装はよく見るととってもポップで斬新。ピンクの花に白壁との対照が良い。
色とりどりのスパイスが並ぶ店先はこの通り、なんと色彩に富んでいることだろう。
ちょっとした小窓の窓枠には星と月があしらわれ、背景の青、そしてちらりと見えるパープルのカーテンは色使いが神秘的で、思わず覗いてみたくなるのは私だけだろうか。
柔らかな日差しが当たるカフェの色はターコイズブルー。こんなオープンカフェにのんびり座って、日がなお喋りに興じるのも良いかもしれない。
シャウエンの青については諸説あるが、かつてここに住み着いたユダヤ人が彼らのシンボルカラーである青に街の壁を塗ったことから始まったという説が一般的だ。当時から現在に至るまでこの街の人々は独特の色彩感覚を持ち、様々な色を散りばめながらも主役である青を引き立たせている。
旅先では、少し見方を変えて散策をしてみるだけで新たな発見がある。旅人に様々なインスピレーションを与えてくれるシャウエンの街は、青の街であると同時に豊かな色彩の街でもあった。