藤井麻未

2015.01.13(Tue)

シェーンブルン宮殿 ひみつの散歩道 ~オーストリア ウィーン~

女性なら誰だって、不思議の国のアリスや秘密の花園のような、どこか別の世界へと繋がる秘密めいた散歩道に憧れを抱いた経験があるだろう。そんな憧れを現実のものにできる、ちょっとした裏ワザがある。

舞台は、ウィーンを訪れた観光客が必ず訪問する有名スポット、シェーンブルン宮殿だ。ベルサイユ宮殿を模して造られたこの広大な宮殿へは、マリア・テレジアに憧れる女性たちはもとよりハプスブルク帝国の歴史と栄華を感じようと世界中から観光客が押し寄せる。いつだって人に溢れるこの宮殿の、一体どこにそんな散歩道があるのだろうか。


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ポイントは時間帯である。実は、宮殿内部がオープンする2時間前、早朝6時半になるとまず庭園が開放されるのだ。庭園の見学は無料であり、誰でも自由に出入りすることができる。しかし殆どの観光客は宮殿内部が開いていない時間にわざわざ来ることは無い。したがって、この時間帯にやって来れば散歩中の地元民に時々出くわすぐらいで、広大な庭園をほぼ独り占めすることができるのだ。

シェーンブルン宮殿はウィーン中心部から地下鉄で一本、ウィーン滞在中であれば時間も手間もかからず簡単に訪れることができる。少し早起きして散歩がてらやって来れば、昼間の賑わいとはガラリと違う静寂に包まれた不思議の世界へとトリップすることができる。

正門から入ると、目の前にはまだ仄暗い空に内部灯が点る巨大な宮殿が構えている。観光客がいないからか、まるでこの宮殿が実際に生きていた頃にタイムスリップしたかのようだ。


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続いて宮殿脇にある庭園入り口の鉄格子を押してみよう。重い柵は難なく開き、そこから先にあるのはあなただけの散歩道だ。


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庭園は東西、南北各1キロ以上あり、迷宮庭園、日本庭園、温室、動物園までもがある。あまりに広大なため通常の内部観光ツアーなどでは庭園見学に割ける時間が殆ど無い。人で賑わう様子も楽しげだが、じっくりとこの庭園の魅力を味わうにはやはり早朝が最適だ。


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陽がまだ低い位置にある早朝、朝霧の中で迷宮庭園を彷徨い歩けば、アリスの世界からやってきた兎がどこからともなく現れるかもしれない。


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魔法がかったような静けさに包まれる朝のシェーンブルン宮殿。そこには誰にも教えたくない、ひみつの散歩道があった。

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